【ロンドン時事】ロシアのウクライナ侵攻を受けたスウェーデンとフィンランドの北欧2カ国の北大西洋条約機構(NATO)加盟問題で、難色を示していたトルコが28日、一転して加盟に同意した。合意内容によれば、北欧2カ国はトルコが要求していたクルド人勢力への支援などをめぐり、大幅な譲歩を示した。人権問題に絡み今後、批判を浴びる可能性もある。
 スウェーデンとフィンランドは、トルコの人権問題に厳しい姿勢を取ってきた。ロシアの脅威にさらされ、安全保障と人権のはざまでジレンマを抱える難しい選択を迫られた。
 今回の首脳会議前に解決できなければ「加盟交渉は行き詰まる」(マリン・フィンランド首相)。「加盟か、非加盟か」の瀬戸際に立たされ、焦る北欧2カ国は、28日の協議で承認と引き換えにトルコの要求をのんだ。
 覚書によれば、北欧2カ国は安保上の問題でトルコへの「全面支援」を約束した。トルコがテロ組織と見なすクルド人勢力を支援せず、クルド人活動家らの身柄引き渡し手続きも加速させると盛り込んだ。
 2カ国のうち特にスウェーデンは、人道上の理由からクルド人の知識人や難民を多数受け入れ、クルド人勢力の「聖域」と呼ばれることもある。10万人いるとされるスウェーデン国内のクルド人らは、スウェーデンとトルコの間で自分たちがNATO加盟の代償を払わされると懸念を強めているとされる。
 スウェーデンとフィンランドは冷戦後も、米国主導のNATOには加わらず、軍事では非同盟を貫いてきた。しかし、ウクライナ侵攻でロシアの脅威が増大。方針転換を迫られ、5月に加盟を申請した。
 当初は円滑な手続きが見込まれたが、クルド問題などを理由にトルコが加盟に反対。加盟には全加盟国の承認が必要で、早期加盟を望んだフィンランドとスウェーデンは、思わぬ障害に行く手を阻まれていた。 
〔写真説明〕北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長(左)とフィンランドのニーニスト大統領=12日、フィンランド南部ナーンタリ(AFP時事)
〔写真説明〕スウェーデンのアンデション首相=27日、ブリュッセル(EPA時事)
〔写真説明〕28日、マドリードで協議に臨むトルコのエルドアン大統領(左から2人目)、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長(同3人目)、スウェーデンのアンデション首相(右から4人目)、フィンランドのニーニスト大統領(同3人目)=トルコ大統領府提供(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)