政府は、10月以降の輸入小麦の国内製粉会社への売り渡し価格を据え置く方向で検討に入った。岸田文雄首相が15日の「物価・賃金・生活総合対策本部」で、食料品とエネルギーに対し切れ目のない対策を講じ、家計の負担を軽減する考えを表明。9月上旬の具体策策定へ調整を急ぐ。ただ、物価高沈静化は見通せず、膨張する財政支出への懸念も強まる。
 輸入小麦は、ウクライナ危機や円安の影響で高騰した市況を反映させると、売り渡し価格は2割程度上昇する見通し。山際大志郎経済再生担当相は15日の記者会見で、「小麦はさまざまな食材に使われ、相当広がりが大きい」と指摘した。
 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、輸入小麦価格の据え置きでパンや麺類、菓子など小麦関連製品の価格が20%上昇するのを半年間回避できると仮定し影響額を試算。木内氏は、個人の負担減少分は総額で約7000億円に上り、「1人当たりで計算すると5600円になる」としている。
 小麦は8割を輸入に依存する。政府が商社を通じて購入し、製粉会社に売り渡す仕組みだ。価格は4月と10月の年2回改定される。これまで3回連続で引き上げられ、ウクライナ危機の影響をほとんど反映していない4月の改定時でも、北米の干ばつなどの影響で17.3%上昇。2007年度以降に現行制度になってから2番目の高値となった。
 ガソリンなど燃料の価格高騰を抑える石油元売り会社への補助金についても、首相は予算措置が終了する10月以降の対策を取りまとめるよう指示した。ただ、補助金制度が始まった1月以降、9月末までの財政支出は2兆円規模に膨らんだ。山際氏は会見で「ずっと税金を投入し続けて価格を下げることは意図していない」と述べ、補助金を続ける場合でも「出口」を見据えた対応が必要になるとの認識を示した。 
〔写真説明〕物価・賃金・生活総合対策本部の会合で発言する岸田文雄首相(中央)=15日午前、首相官邸
〔写真説明〕ウクライナでの小麦の収穫=7月、ハルキウ(ハリコフ)州(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)