環境省は河川の洪水被害の軽減に向け、維持・復元させたい湿地や緑地を見つけるためのマップを今年度中にも作る。こうした土地は雨水を多くためたり浸透させたりできるためだ。近年豪雨が頻発する中、自治体がマップを参考に湿地の復元などを進めることで、防災・減災だけでなく生物多様性の保全にもつなげたい考え。
 東日本に記録的豪雨をもたらした2019年の台風19号では、栃木、群馬、埼玉、茨城の4県にまたがる渡良瀬遊水地が約1億6000万立方メートル(東京ドーム約130杯分)の水をため、首都圏の洪水被害の低減につながったとされる。低湿地を国が整備した渡良瀬遊水地には多様な動植物が生息。国際的に重要な湿地を保全する「ラムサール条約」にも登録されている。
 こうした事例を踏まえ環境省は、20年度から全国マップを作るため調査に着手。早ければ今年度中にウェブで公開する。マップは「水の染みこみやすさ」「生物多様性」といった項目ごとに作り、それぞれの評価を色分けして表示。各自治体は、これらのマップを重ね合わせて再生させたい湿地や維持したい緑地などの場所を抽出する。
 湿地は田んぼや宅地のほか、耕作放棄地になっているケースもある。宅地開発されている場合、すぐ見直すことは難しいが、人口減少で将来居住場所として利用されなくなることも見据え、自治体が都市計画を考える際の参考にしてもらう。耕作放棄地になっている場合は、水をためやすくする工事を行うことが考えられる。
 同省は、マップの重ね合わせ方を紹介する自治体向けの手引も併せて作り公開する方針。担当者は「マップや手引を活用して、防災・減災に向け、地域自らが考え動きだすことを期待する」としている。 
〔写真説明〕渡良瀬遊水地=2019年1月撮影(国土交通省関東地方整備局利根川上流河川事務所提供)

(ニュース提供元:時事通信社)