四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は安全性に問題があるとして、広島県と愛媛県の住民計7人が運転差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で、広島高裁(脇由紀裁判長)は24日、差し止めを認めない決定をした。
 裁判での主な争点は、耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」の妥当性などだった。
 住民側は、四国電が設定した基準地震動は実際の地震観測記録に照らして低水準で、3号機の耐震性に問題があると主張していた。
 これに対し、脇裁判長は決定で「四国電が策定した基準地震動が低水準であるとは言えない」と指摘。「原子炉施設の安全性に影響を及ぼす大規模自然災害の発生する可能性が具体的に高く、これによって住人らの生命などに具体的危険があるとは認められない」として、申し立てを退けた。
 広島地裁は2021年11月、「基準地震動を上回る規模の地震が発生する具体的な危険性があるとは言えない」と指摘し、申し立てを却下。住民側が即時抗告していた。 
〔写真説明〕伊方原発3号機の運転差し止めが認められず、「市民はあきらめない」などと書かれた旗を掲げる住民ら=24日午後、広島市

(ニュース提供元:時事通信社)