◇金融システム不安対応焦点=野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト
 ―議論の注目点は。
 米地方銀行の経営破綻が続き、金融システム問題が改めて深刻になっている。(欧米では)急速な利上げによって多くの中小銀行で預金流出や収益悪化が起き、厳しい環境に置かれている。大きな問題として吹き出さないためにどうすればよいかが話し合われるだろう。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が規制や監督の問題を指摘し、世界全体でリーマン・ショック以降の規制や監督の在り方を見直す議論になりやすい。ヘッジファンドなどノンバンクへの監視もテーマになる可能性がある。
 ―世界経済の現状認識は。
 リスクはインフレから景気減速に移ってきている。異例の物価高に対する異例の金融引き締めの影響に、銀行システム不安が加わる形で景気後退となっていくとみている。
 ―先進7カ国(G7)議長国としての日本の役割は何か。
 世界はG7のような先進国の民主主義陣営と、(中国やロシアのような)権威主義的な国のグループ、(アフリカ諸国などの)新興・途上国の「グローバルサウス」と3分割された状態だ。債務国やサプライチェーン(供給網)の問題で、世界全体の安定のために仲介的な役割ができれば日本の利益になる。政治的な多様性を認めながら新興国が成長できる環境を整え、必要な支援をすることが重要なのではないか。 
〔写真説明〕インタビューに答える野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト=1日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)