東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)のテロ対策に不備が相次いだ問題で、原子力規制委員会は17日、一部の項目について「是正が図られたと判断できない」とする検査報告書を了承し、同原発に対する追加検査の継続を決めた。事実上の運転禁止命令も維持した。東電は同原発7号機の10月再稼働を目指しているが、先行きは不透明となった。
 報告書で指摘した課題への対応について、東電の小早川智明社長と意見交換する。山中伸介委員長は記者会見で「東電が自律的に改善できるかをきちっと見ていく」と述べた。検査完了時期の見通しは「東電自身の取り組み次第だ」として、明言しなかった。
 柏崎刈羽原発では2018年1月以降、不正侵入を検知する設備の損傷などがたびたび発生。復旧に時間がかかっていた。また20年9月には社員が同僚のIDカードを使って中央制御室に不正侵入するなど、テロ対策の不備が相次いだ。
 規制委は21年4月、原発内で核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出し、追加検査で東電のテロ対策に改善が確認されるまで、事実上運転を禁止。7号機再稼働に向けた作業は不可能になっている。 

(ニュース提供元:時事通信社)