2023/05/27
防災・危機管理ニュース
性感染症の梅毒患者報告数が、過去最悪の勢いで増えている。国立感染症研究所によると、今年は14日時点で5164人となり、今の調査方法となった1999年以降で最多だった昨年同時期の約1.4倍に上る。3年連続で最多を更新する恐れもあり、専門家は異変があったら検査を受けるよう呼び掛けている。
梅毒は細菌「梅毒トレポネーマ」による感染症で、主に性行為でうつる。性器などにしこりができた後、全身の発疹やリンパ節の腫れが出ることが多い。初期症状は軽いが、放置すると脳や心臓に将来、重大な合併症が出ることもある。
2021年の報告数は当時最多の7978人だったが、22年は1万3228人(今年4月5日時点の速報値)だった。今年は14日までに5164人(速報値)となり、昨年より約1カ月早く5000人を超えた。都道府県別では東京が最多1332人で、大阪699人、北海道305人、愛知291人、福岡257人と続き、都市部で多い。
日本性感染症学会によると、1949年には年18万人近くの患者が発生したとの報告がある。抗菌薬の普及で激減し、90年代には年500人程度に減ったが、2011年以降は増加。SNSで出会った不特定多数との性行為や、性風俗店の利用などが原因との指摘もあるが、理由は不明だ。
同学会監事の川名敬・日本大主任教授は「予防にはコンドームが有効」とした上で「性器にしこりができたり、発疹が全身に出たりした場合はすぐに医療機関や保健所で検査を受けてほしい。しこりなどが消えて治ったように見えても、感染させる恐れがあり、放置は危険」と強調する。
川名氏は「女性の場合、感染した状態で妊娠すると、胎児が胎盤を通じて感染する『先天梅毒』になる危険がある。流産や死産、障害を持って生まれる恐れが強まるので、注意が必要だ」と話している。
(ニュース提供元:時事通信社)
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