政府は、北朝鮮による「人工衛星」発射の予告を受け、厳戒態勢を敷いた。日本領域内への落下に備え、自衛隊の迎撃ミサイルを南西諸島に展開。上空を通過する場合でも、全国瞬時警報システム(Jアラート)などを通じ、国民への迅速な情報発信に努める方針だ。
 浜田靖一防衛相は30日の記者会見で「北朝鮮が『衛星』と称したものは、過去の例を見れば弾道ミサイルと推定される」と指摘。自衛隊に対する破壊措置命令の発出も含め、米韓両国と連携しつつ警戒・監視に万全を期すと強調した。
 日米韓3カ国は29日、関係部局の高官が電話協議し、北朝鮮に自制を強く求めることを確認。林芳正外相は30日の会見で、北朝鮮に対して「関連する国連安全保障理事会決議の順守を求めたい」と述べた。
 自衛隊は、日本周辺海域に海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載のイージス艦を展開。また、沖縄本島や宮古、石垣、与那国各島に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備した。
 落下の可能性がある場合は、Jアラートで住民に避難を呼び掛ける。落下せず上空を通過する場合も、同様に情報提供を行う。これに関し、松野博一官房長官は会見で「地方公共団体に対し、住民へ情報伝達する態勢の確保とともに、防災行政無線などの点検徹底をお願いしている」と述べた。 
〔写真説明〕弾道ミサイル迎撃能力を備える海上自衛隊のイージス艦(海上自衛隊提供)

(ニュース提供元:時事通信社)