2023/06/07
防災・危機管理ニュース
防衛産業を支援し、装備品の開発・生産の基盤を強化するための法律が7日の参院本会議で、与党と立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。国内製造拠点の維持に向け、事業継続が困難になった企業の生産ラインを国有化し、別の企業に委託する仕組みも盛り込んだ。
政府が防衛産業の支援に取り組むのは、利益率が低く、撤退する企業が相次いでいるため。昨年末に改定した国家安全保障戦略に「防衛生産・技術基盤は防衛力そのもの」と明記し、強化していく方針を打ち出した。
具体的には、(1)サプライチェーン(供給網)の多様化(2)製造工程の効率化(3)サイバーセキュリティーの強化(4)事業継承―の4分野に取り組む企業を対象に、費用を国が直接支援。海外輸出を後押しするため、仕様や性能を変えるコストを国が助成するための基金を設ける。2023年度予算に関連経費400億円を計上している。
事業の継承が困難になった場合、「自衛隊の任務に不可欠な装備品」と判断すれば、国が工場などを買い取り、別の企業に生産を委託できるようにする。製造を引き継ぐ側の固定費など初期投資の負担を軽くし、開発・生産基盤を維持するのが目的だ。
支援の一方で、情報保全を強化する。防衛省が提供する関連情報を「装備品等秘密」に指定。企業の社員らが漏えいした場合、「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」とする罰則を設けた。サプライチェーンを把握するため、防衛省の調査に回答する努力義務を企業に課した。
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方