防衛産業を支援し、装備品の開発・生産の基盤を強化するための法律が7日の参院本会議で、与党と立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。国内製造拠点の維持に向け、事業継続が困難になった企業の生産ラインを国有化し、別の企業に委託する仕組みも盛り込んだ。
 政府が防衛産業の支援に取り組むのは、利益率が低く、撤退する企業が相次いでいるため。昨年末に改定した国家安全保障戦略に「防衛生産・技術基盤は防衛力そのもの」と明記し、強化していく方針を打ち出した。
 具体的には、(1)サプライチェーン(供給網)の多様化(2)製造工程の効率化(3)サイバーセキュリティーの強化(4)事業継承―の4分野に取り組む企業を対象に、費用を国が直接支援。海外輸出を後押しするため、仕様や性能を変えるコストを国が助成するための基金を設ける。2023年度予算に関連経費400億円を計上している。
 事業の継承が困難になった場合、「自衛隊の任務に不可欠な装備品」と判断すれば、国が工場などを買い取り、別の企業に生産を委託できるようにする。製造を引き継ぐ側の固定費など初期投資の負担を軽くし、開発・生産基盤を維持するのが目的だ。
 支援の一方で、情報保全を強化する。防衛省が提供する関連情報を「装備品等秘密」に指定。企業の社員らが漏えいした場合、「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」とする罰則を設けた。サプライチェーンを把握するため、防衛省の調査に回答する努力義務を企業に課した。 

(ニュース提供元:時事通信社)