外務省は、海外に住む日本人を対象に孤独・孤立に関する初の実態調査を行う。在外公館が邦人との連絡に使う「領事メール」を通じて秋ごろから始め、来年3月までに報告書を取りまとめる方向で調整。来月中旬に内部会議を開き、具体的な手法を検討する。関係者が17日までに明らかにした。
 新型コロナウイルス禍で孤独や孤立の問題が顕在化したのを受け、菅義偉政権は2021年2月に担当相を新設、対策に着手した。政府は同年から全国実態調査を開始したが、在外邦人は対象外だった。
 現在、海外に住む日本人は約134万人。外務省調査によると、19年以降、在外邦人の死亡理由は3年連続で自殺が2位で、傷病の次に多い。同省と連携するNPO法人「あなたのいばしょ」(東京都港区)が運営するチャット相談窓口には、在外邦人から毎月約400件の相談が寄せられているという。
 同省海外邦人安全課は「ロックダウン(都市封鎖)などコロナ禍の影響のほか、言葉や文化が異なるなど海外の特殊事情もある。調査結果を踏まえ、邦人保護の質の向上に生かしたい」と話している。 

(ニュース提供元:時事通信社)