【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの攻撃で甚大な被害を出したイスラエルは、ガザのハマス拠点などに激しい報復空爆を加えている。民間人にも犠牲者が出ており、住民らは事態沈静化へ「国際社会は介入を」と訴えている。
 「建物が崩れると子供たちが泣き叫ぶ声が聞こえ、すぐにやんだ。みんな死んでしまった」。ガザ中部のブレイジ難民キャンプで暮らすアフマド・アブーダンさん(35)は、おびえた様子で空爆の様子を振り返った。「建物は一瞬にしてがれきと化した」といい、5歳の子供を含む親族14人を失った。
 アブーダンさんは、家族や親戚にハマスを含む政治的、軍事的組織と関わりを持つ者はいなかったと説明する。「イスラエルは今回、無防備な民間人にも復讐(ふくしゅう)している」と非難。これ以上の事態悪化を防ぐため、国際社会に声を上げるよう求めた。
 国連人道問題調整事務所(OCHA)の11日の発表によると、空爆によってガザの住民ら約33万8000人が住居を追われ、学校などに避難していると発表。住民によると、ガザ北部ベイトハヌンの小学校には約5000人が身を寄せており、飲料水や毛布などが不足している。
 だが、学校も安全ではない。イスラエル軍は空爆について「ハマスの指揮官が標的」と説明するが、ブレイジでは学校の近くにも空爆が加えられたという。学校に避難していたというハヤ・アブデルファタさん(36)は「この戦争を終わらせるには、国際社会の介入が必要だ」と語った。 
〔写真説明〕12日、パレスチナ自治区ガザで、イスラエルの空爆で立ち上る黒煙(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)