【ワシントン、北京時事】イエレン米財務長官は10日、米サンフランシスコで中国の何立峰副首相と2日間にわたる会談を終え、記者会見した。「企業はロシアの防衛産業への物資支援をするべきではないと強調した」と説明。その上で、ロシアを支援する中国企業を取り締まるよう何氏に求めた。米中間の対話強化でも合意し、15日の米中首脳会談へ環境整備を進めた。
 イエレン氏は記者会見で、中国政府が承知しているとは限らないとしつつも、「中国企業が、ロシアに設備や資材を供給している恐れがあるとの証拠がある」と強調。「中国がこうした企業を取り締まることを望む」とも話した。
 米財務省によると、会談では、米国の対中投資規制や、中国による重要鉱物の輸出管理強化など、互いの安全保障関連措置について意見交換。イエレン氏は、中国の巨額補助金や米企業への圧力などに対する懸念を伝えた。
 中国国営新華社通信によると、何氏は米国の投資や輸出を巡る規制の強化、追加関税などへの「明確な懸念」を伝え、改めて撤回を要求した。
 両国は、意図しない緊張の高まりを回避し、対立する問題に対処するため、対話を強化することで合意。金融安定化や中・低所得国の債務問題などでの協力でも一致した。米中経済の「デカップリング(分断)」を追求しないことも確認した。 

(ニュース提供元:時事通信社)