法務省は老朽化した分譲マンションの建て替えについて、決議に必要な区分所有者の合意要件を現在の「5分の4以上」から、条件付きで「4分の3以上」に引き下げる方針を固めた。21日の法制審議会(法相の諮問機関)の部会でこの緩和案を盛り込んだ区分所有法改正要綱案の「たたき台」を示す。年度内に要綱を取りまとめ、来年1月召集の通常国会への改正案提出を目指す。
 老朽マンションの増加が今後も見込まれる中、所有者の合意形成をしやすくするのが目的。現行法では、マンションの建て替えには「5分の4以上」の賛成が必要。所在が分からない所有者は「反対」として扱われるため、合意を得ることが困難との指摘がある。
 建て替えについて、耐震性や耐火性の不足など一定の条件を満たす場合は「4分の3以上」の賛成で可能とする方針。所在不明の所有者は、裁判所が認めれば多数決の母数から除外できる仕組みも導入する。
 マンションの建物・敷地の一括売却や取り壊しには現在、所有者「全員」の同意が必要だが、建て替えと同様に「4分の3以上」の多数決で決められるようにする。
 大規模災害で被災したマンションを対象とする被災マンション法も見直す。現在は建て替えや取り壊しに「5分の4以上」の賛成が必要だが、これを「3分の2以上」に引き下げる。
 国土交通省によると、築40年以上のマンションは2022年末時点で約126万戸に上り、10年後に倍増し、20年後には約3.5倍に増加する見通し。相続などで所有者と連絡が取れなくなる事態も懸念されており、政府が制度見直しを検討している。 
〔写真説明〕法務省旧本館=2022年1月13日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)