総務省は5日、通信アプリ「LINE」の利用者情報流出問題を起こしたLINEヤフーへの行政指導で、韓国IT大手ネイバーによる資本支配の見直し要請に踏み込んだ。LINEヤフーを傘下に置くソフトバンクは問題への対策を検討すると表明しており、LINEヤフーへの関与強化に発展する可能性がある。
 同省によると、LINEヤフーは、前身企業の一つがネイバー子会社だった経緯から同社のシステム基盤を利用。ITインフラの運用を委託してネットワークの接続を認めており、強い依存関係があった。
 資本面では、LINEヤフー株の64%超を保有する持ち株会社にソフトバンクとネイバーが折半出資している。LINEヤフーから見れば、ネイバーから32%超の間接出資を受ける関係だ。
 総務省は、本来監督対象の業務委託先から資本支配を受ける「あべこべの関係」(担当者)と指摘。適切な監督が困難だったとの見方を示した。
 「セキュリティーに対する取り組みがもっと必要だった」とLINEヤフーの出沢剛社長は振り返る。松本剛明総務相は、再び同様の事案が起きた場合に業務改善命令を出す可能性をちらつかせ、早期の対応を迫る。
 資本関係の見直しはソフトバンクとネイバーの関与なしには難しい。総務省は5日、ソフトバンクの宮川潤一社長にも協力を要請した。宮川社長は「実効的なセキュリティーガバナンス確保の方策を検討する」と応じたという。 
〔写真説明〕総務省から行政指導を受け、報道陣の取材に応じるLINEヤフーの出沢剛社長(右)=5日午前、東京・霞が関

(ニュース提供元:時事通信社)