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就業中に手をケガしてしまった部下が病院で治療を受けたあと帰社し、責任者の中澤(45才男性、仮名)のもとに報告に来ました。「すみませんでした。キズは縫ってもらいました。それで医者からハショーフー?について色々と聞かれたんですが、よくわからなくて…これ…預かってきたんですけど…」。 部下の差し出したA4の紙にはこんなことが書かれていました…。

編集部注:「リスク対策.com」本誌2015年9月25日号(Vol.51)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです(2016年12月1日)。

予防接種の落とし穴…その1
ご自分の破傷風ワクチン接種歴を覚えていますか? 

最初の3回の接種が完了していることが重要であり、この3回接種が完了していれば「基礎免疫が備わっている」と言えます。しかし、この定期接種が国の事業として始まったのは1968年(昭和43年)からであり、それ以前に生まれた中高年の方々(2015年現在で概ね46歳以上)の多くは予防接種を受けていないか、もしくは不十分な接種(3回終わっていないとか?)の可能性があります。ご自分の母子手帳で確認してみましょう。

予防接種の落とし穴…その2
破傷風ワクチンの効果は、きちんとスケジュール通りに接種されていたとしても、終生獲得できる免疫ではありません。破傷風ワクチンは最後に接種してから5~10年で効力を失います。日本のスケジュールで言えば、小学校高学年(12才ぐらい)が最終接種ですから、それから約10年経った成人以降(22才ぐらい)にはワクチンの効果は期待できないということになります。 

欧米各国では成人以降の定期接種が行われていますが、わが国では行われていません。つまり「ほとんどの日本の成人は破傷風に対して無防備」なんです。 

ゆえにケガをしたら破傷風ワクチン(破傷風トキソイドと言います)を接種しましょう。

破傷風トキソイドとは?
破傷風トキソイドは、破傷風菌から毒素を取り出して無毒化したものです。破傷風トキソイドを注射することで体内での免疫反応を促し、破傷風に対する血中抗体が産生されます。つまり破傷風に対する抵抗力を身につけるということです。通常、0.5mLを筋肉注射で三角筋という肩の筋肉に接種します。

誰が受けるべきですか?
破傷風トキソイドはケガをした(ほぼ)全員に接種するべきだと考えられます。破傷風の患者数は多くありませんが、その高い死亡率はもしものことを考えるとインパクト大です。キズをみて破傷風になりやすいか、なりにくいかを完全に区別する事は困難ですし、キズの汚染の程度からだけでも判断できません。

ましてや前述の通り、清潔なはずの病院で行われる手術のキズや、キズすらはっきりしないのに破傷風にかかる事があると言われていますから気を付けようがありません。最終接種から5~10年で免疫効果は無くなるのにもかかわらず定期接種が無い日本ですから、ケガをしたらとりあえず全員接種するのが現時点では最善でしょう。

通常よりもケガをするリスクの高い職業(自衛隊や消防など)また動物に触れる職業の方々は、定期接種を行っています。

(了)