政府は7日、IT総合戦略本部と官民データ活用推進戦略会議の合同会議を首相官邸で開き、IT政策の大綱を決定した。国境を越えたデータ移動に関し、ルール構築を主導することに主眼を置いた。日本が他国より遅れている次世代通信規格「5G」や人工知能(AI)分野への取り組みも政府を挙げて加速する。
 安倍晋三首相は席上、今月28、29両日に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に触れ、「わが国がリーダーシップを発揮してデータ流通の新たなルールづくりに向けて各国と連携する」と強調した。
 各種のデジタルデータは、小売り需要の予測や新商品・サービスの開発、医療など、さまざまな分野での活用が見込まれる。大綱ではデータを「デジタル時代の競争力の源泉であり、『21世紀の石油』」と位置付け、プライバシーや知的財産を保護した上で自由な流通が必要との立場を強調した。個人情報保護が不十分な中国をけん制する狙いもあるとみられる。
 国内では、個人情報保護と円滑なデータ流通を両立させるため、個人の権利の拡充と流通に関する規制緩和を組み合わせた個人情報保護法改正案を来年早期に国会に提出。事業者向けの情報セキュリティー対策指針を産業分野別に策定することも大綱に盛り込んだ。 
 5Gの商用サービスは米国や韓国で既に始まっており、日本は来春から。大綱では、基地局や光ファイバーの整備を急ぎ、2年以内に全都道府県でサービスを開始することを目標に掲げた。信号機への基地局設置を視野に入れている。
 AIに関しては、産学官による研究拠点を2025年までに全国200カ所に整備することを打ち出した。地方自治体のデジタル化を後押しするため、省庁横断的な議論にも着手する。

◇IT大綱ポイント
 一、国際データ流通のルール構築主導
 一、個人情報保護法改正案を来年早期に提出
 一、情報セキュリティー対策指針を産業別に策定
 一、「5G」サービスを2年以内に全国で開始
 一、産学官の人工知能(AI)研究拠点を整備(了)

〔写真説明〕IT総合戦略本部・官民データ活用推進戦略会議の合同会議で発言する安倍晋三首相(左から2人目)=7日午後、首相官邸