享和元年(1801年)に清水港の回船問屋として創業した鈴与株式会社は、現在約140のグループ会社を抱え、今や静岡県を代表する企業といえる。その鈴与が危機管理の観点から、数多くのグループ会社の被害状況をいちはやくまとめて把握し、確実な情報共有体制を築くために採用したシステムが「Bousaiz(ボウサイズ)」だ。

導入のきっかけ

「発災時の初動で最優先すべきなのは被害の全体像をつかむことです。現場は被害情報の第一報を迅速に送信し、受け取る側はその情報を即座に整理して状況の大枠をとらえなければなりません」と説明するのは鈴与・危機管理室長の後藤大輔氏。ひとたび災害が起これば、鈴与グループの危機管理委員会は約140のグループ各社から情報を吸い上げて被害の全体像を把握し、さまざまな決断を速やかに下さなければならない。

鈴与グループの災害対応の中枢となるこの危機管理委員会は鈴与の役員やグループ会社の社長など14人が委員を務める。委員長はグループの代表である鈴木与平会長だ。発災時に委員はそれぞれが代表を務める部門やグループ会社に事業別対策本部を設置し、事業ごとに振り分けられたグループ各社を統括する。この方法で全てのグループ会社の危機管理を行っている。

後藤氏が中心となり、試行錯誤を繰り返しながら災害対策を改善してきた鈴与グループ。本社の対策本部室に入るとその成果が手に取るようにわかる。机やホワイトボードなどは床にしっかり固定され、重要な緊急連絡先はすべて見やすく整理され壁に張られている。非常電源や通信機器をはじめとした装備品をそろえ、災害時に無用の長物にならぬようメンテナンスと使用方法の確認を怠らない。とはいえ、対策に力を注ぐ鈴与でも課題が少なからず残っていた。求めていたのは被害状況を「うまく」把握する方法だった。

 

情報の見える化で課題を解決

危機管理委員がトップを務めるグループ会社では事業別対策本部が設置され、自社の本・支店や拠点の情報だけでなく、担当する他のグループ企業の情報も集めなくてはならない。これまでの連絡手段は電話と無線、ファックス、メール。受け取った被害情報はExcelでまとめていた。集計には向いているExcelだが、ファイルの中身は文字や数字の羅列で、一目で状況を把握するには不向きだった。

各事業別対策本部からの情報を集約する危機管理委員会事務局でも、災害対策本部室でExcelの無機質なマス目を見るのは決して効果的ではなく、何より入力に苦労する。また、地図を使った災害情報の効果的な整理も容易ではなかった。なぜなら対策本部室に備えていた市販の地図ソフトは、あくまでも事前に入力された各グループ会社の拠点を地図上に示し、災害時の連絡に必要な電話番号などを表示させる機能が主で、被害情報を入力し地図上に反映させ、どの地域がどのくらいの被害を受けているのかを可視化するのは道路マップの性質が強いソフトでは決して容易でなかったためだ。またパソコンやソフトが何らかの理由で使用できなくなった場合のために対策本部室の壁には紙の地図を常時用意し、被害状況などを手書きで記入できるようにしていたが、最大の欠点は情報の更新だった。

だからこそTIS株式会社の提供する「Bousaiz」をはじめて見たとき、直感が働いたという。

「まず、被害状況集計表を見たときに自分で作ろうと思っていたものだという印象を受けました。被害程度が一目瞭然でわかるCOP※と同じで、赤、黄、緑で色分けされていてわかりやすい。そして、最大の魅力と感じたのは現場で撮影した写真をいろいろな場所で複数の者が同時にリアルタイムに確認できるという、地図上に写真を掲載できる機能でした。被害状況の把握は簡単ではありませんが、その遅れは意思決定の遅れにつながります。だからこのような情報の見える化が非常に重要だと思います」(後藤氏)。
※COP=CommonOperationalPicture(状況認識の統一図)

迅速な情報収集と一目でわかる状況把握

Bousaizの被害状況集計表には拠点ごとの被害が色別で示される。「死者発生」「負傷者」「保有装備」「火災」「電気」「ガス」「水道」「通信設備」「業務可否」などの確認項目が横に、本社などの拠点が縦に並ぶ。分散している各拠点では、Bousaizを使って事前に設けた基準に従って赤、黄、緑を選び状況を知らせる。災害対策本部ではどこの拠点でどの程度の被害が出ているのか、被害程度が色分けされているおかげで一目でわかる仕組みだ。

「特に多くの情報が急激に入ってくる初動では、混乱して情報整理は難しい。しかし、被害情報集計表の画面を見ればどの拠点の被害が大きいか、色で示してくれる。赤なら重大な被害が出ているから優先して対応する。色の情報がなければ大きな被害を受けて情報すら送れない可能性もある。このようにすぐに状況を把握し、次の手を打てるわけです」(後藤氏)。

Bousaizの被害項目に従っての情報収集のメリットはそれだけではない。情報収集のスピードアップも同時に期待できる。各拠点ではまず、Bousaizの被害項目に答えて第一報を送信すればいい。情報の重要性を考慮し、電話や無線、メールなどで詳細を伝えるのが鈴与流だ。

実は、これまでは初動で詳細な被害情報を求めすぎていたという。初動での報告が細かすぎると緊急性が高く、素早く伝える報告に遅れが生じる可能性も出てくる。それは意思決定の遅れにつながり、対策が後手になりかねない。だからこそ、報告形式の簡素化などの改善を進めてきたが、Bousaizの導入でさらに大きく進歩すると後藤氏は説明する。

「被害情報を送信する側、受け取る側の双方の助けになりました。発災時に電話は通じにくい。各拠点でスマホやタブレットを使って簡単に情報は送れますし、対策本部で見ているBousaizの画面にすぐに反映され、状況把握も早くなる」(後藤氏)。

ライブ映像をリアルタイムに確認

拠点の被害、道路状況や交通機関の運行状況などを含めたさまざまな情報を地図上に書き込めるようにもなった。もちろん画像も表示できる。情報の書き換え、更新も自在になった。さらに、物流が事業の中核になっている鈴与にとって、最重要地点である清水港に設置する無人カメラのライブ映像をBousaizに取り込めるメリットも大きいとも後藤氏は説明する。

クラウドサービスで提供されるBousaizについて「優れた点は誰でもパソコンやタブレット、スマートフォンでリアルタイムに情報を確認できるところ。インターネットにつながりさえすればどこにいても情報を引き出せる。社長が別の場所にいたときに、ここに集まった情報を電話だけで伝えられるでしょうか。Bousaizなら同じ地図画面を見ながら報告できます。電話だけのときと比較にならないほど情報を齟齬なく伝えられます。そしてトップも被害の大きさと範囲をイメージしやすくなり、正確に状況把握できるわけです」(後藤氏)。

グローバルに展開する同社のトップが、常に国内にいるとも限らない。それは危機管理委員会のメンバーを含めても同じことだ。だからこそ、情報を迅速に収集して整理し、被害の全体像をいち早くつかむ手助けになり、クラウドでどこでも情報を共有できるBousaizが同社では採用されたのだ。

現在、鈴与が登録している拠点は約250。海外拠点も含め、グローバルな体制で利用していく予定だ。

鈴与株式会社
200年を超える歴史と140余社のグループ会社で、物流・エネルギー・建設・食品・情報・地域開発、さらにフジドリームエアラインズをはじめとする航空など、幅広い分野で事業を展開。
■本社:静岡県静岡市清水区入船町11-1
■事業内容:総合物流事業
■従業員数:1,055名 ※平成28年2月度(グループ全体/約1万人)
■事業拠点:国内110拠点、海外20拠点
 

 

鈴与株式会社 危機管理室 室長 後藤大輔氏
東海大学海洋学部を卒業後、海上自衛隊に入隊。
護衛隊司令、護衛艦等艦長、護衛艦隊司令部訓練担当幕僚、地方総監部の防衛・警備、防災担当幕僚などの要職を歴任。自衛隊定年退職後、平成24年4月に鈴与株式会社に入社。現在、鈴与グループの危機管理を統括する危機管理室長として、グループの事業継続体制の強化・推進に従事。

 


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