今まで当連載では、ハッキングやマルウェア感染に遭ったとき、またその後の感染拡大を防ぐ対策を中心にご紹介してきました。今回は事前に行う対策についてお話しします。

まずは自分たちの使っているシステムやネットワークが安全かどうかのチェックが必要になります。これが脆弱性診断です。人間の体で例えると健康診断のようなものです。

1.脆弱性診断とは何か

まずは、脆弱性の説明をしましょう。人間でいうならば風邪をひきやすい要因、薄着であるとか、食生活が乱れるといったことになります。これを一般企業システムに置き換えると、脆弱性とはハッキングされやすい環境、情報漏えいが起きやすい状態を指します。一般的に脆弱性はセキュリティホールとも呼ばれ、それは公開サーバーのソースコードやサーバープラットフォームなどに潜んでいます。この脆弱性が発見されると各メーカーはアプリケーションを修正し、更新プログラムを配布します。

次に診断箇所について説明します。これも人間の体で例えるならば、頭、目、胃や腸、さまざまな部位が診断箇所になります。一般企業システムではどうでしょう? ウイルスやサイバー攻撃を受けやすい箇所もしくは機密情報を取り扱っている部署・システムなどに相当します。具体的には下記のような箇所が挙げられます。
・社外Webサイト
・開発製品やシステム(販売製品など)
・各種社内サーバー(DNSサーバー、ファイルサーバー、開発サーバー)
・業務管理システム(受発注システムなど)
・ネットワーク機器
・社員PC、USB
・スマートフォン など

2.脆弱性診断の必要性とその頻度

脆弱性診断の必要性は、自分たちのシステムやネットワーク環境の現状を知るためです。脆弱性がシステムのどこにあるのかを知るために診断を行います。診断結果による脆弱性の内容と場所を把握することにより、適切な対策を講じることが可能となります。

言い換えると、診断をせずにやみくもにセキュリティ対策を行った場合、不必要な箇所に対策を施してしまい、対策が本来必要なところへの対応ができないなど、無駄な投資が発生してしまう可能性があります。

また、セキュリティ診断は定期的に行う必要があります。皆さんもご存じかと思いますが、マルウェア、標的型攻撃などの手法は常に進化しています。毎月、もしくは4半期に1回など定期的・継続的な診断を行い、脆弱性を知る必要があります。

3.サプライチェーンの脆弱性

一方、メーカーなどソフトウエアを組み込む製品などは、その製品に対する脆弱性診断が必要です。サプライチェーンに対する攻撃というものを聞いたことはありますか? 大手企業を攻撃する場合、その企業で採用しているシステムや利用しているアプリケーションの脆弱性を利用して攻撃を仕掛けるといったものです。従って納入する製品やアプリケーションの脆弱性をふさいでおくことが重要になります。 

4.2種類の脆弱性診断

脆弱性の診断は大きく分けて2種類あります。一つは外部からの攻撃を許してしまう脆弱性の診断、もう一つは内部から攻撃を許してしまう脆弱性の診断です。
 

製造業や、医療関係者の方から「閉鎖されたシステムだから、脆弱性があっても攻撃されることはない」といったことをよく耳にします。実際にはそのようなことはなく、内部犯行者による情報漏えいや内部からのランサムウェア感染といった事例が後を絶ちません。したがって、内部システムの脆弱性診断をおこない、脆弱性をふさいでおくべきなのです。

アライドテレシスでは4月にこのような外・内部の脆弱性診断サービスを「Net.CyberSecurity」というブランドとして立ち上げることを発表いたしました。この診断サービスを実施することにより、外側は社外Webなどの脆弱性、内側は社内サーバーやネットワーク機器などの脆弱性を診断し、セキュリティホールの箇所と直し方を知ることができます。

次回はこのような外部からの攻撃の診断と内部システムの診断に関して、もう少し詳しく説明していきたいと思います。

(了)