今日、まだ食べられる食料の廃棄が増え続け、問題になっていますが、いったん災害に遭うと食料が大幅に不足します。過去の災害を振り返ってみましょう。阪神・淡路大震災、東日本大震災での避難所の食事は、主食の確保がやっとで副食にまで手が回らない。いわゆる「おにぎり」と「菓子パン」と「乾パン」ずくめで情けないものでした。関東大震災の記録を見ると、「おにぎりの分配」は今よりはるかに計画的で気が利いていました。しかし、おかずが「ない」という点では今も昔も同じです。粗末な食べ物で5大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミン)は不足状態。特にビタミン、ミネラルが大幅に不足していました。栄養摂取のバランスが欠け、体調を崩し健康維持が難しい状況でした。
そこで、熊本地震では、政府は支援の方法をプッシュ型に切り替え、同時に支援内容を充実させました。それは画期的で「栄養補助食品」という新顔が14万個も参入していました。

災害時には栄養が取りにくいこと、それを栄養補助食品の助けを借りて補おうとしている政府の意図が読み取れます。本日はこの「栄養補助食品」ついて述べたいと思います。

とりあえず、この件について内閣府に問い合わせてみました。すると、飲料水は内閣府、食料・育児用調製粉乳は農水省ということでした。農水省に問い合わせた結果、栄養補助食品は「民間調達」であり、具体的には当時コンビニへ輸送中のトラックをそのまま被災地へ方向転換して向かわせたとのことでした。中身は、「カロリーメイト9万個、スポーツ飲料、ゼリー飲料1万6000個、ビタミン剤」です。

そこで、私の住む町(芦屋市)の駅前通りのコンビニへ直行し店内の栄養補助食品の主なものを調べてみました(写真)。

ローソンと店内の陳列

 
 
 


以上、店内には20種類を超えるゼリー飲料とカロリーメイトがにぎやかに棚に並んでいました。分類すると表のようになります(表)。

ゼリー飲料の分類

栄養補充系

inゼリーミックス、カロリーメイトゼリーなど

清涼飲料系

ポカリスエットゼリー、ファンタふるふるシェイカーなど

介護系

ハイネゼリー、OS-1ゼリーなど

離乳・幼児食系

お薬飲めたね龍角散など

 

これらの食品の成分を以下調べてみました。(表)

栄養補助食品が救世主になる

以上、それぞれのメーカーには特徴が見られます。大塚製薬(カロリーメイトなど)の諸製品は、1部の商品ポカリスエット(電解質)を除いて5大栄養素・全方位方式で栄養素のバランスの充実に意を注いでいます。森永製品は1商品のみ6大栄養素のバランスを取り、その他はエネルギー強化、プロテイン強化、ミネラル、ビタミンに重心をかけて強化しています。明治は、ビタミン、ミネラル(亜鉛、銅、鉄)、プロテイン、アミノ酸に重点を置いた商品です。ハウスはL-137 乳酸菌100億個と1日のビタミンに力を入れた商品。ローソン(カゴメ)は1食分の食物繊維と1日分のビタミンC、ローソン(エルビー)は1日分のビタミンCに重心を置いた商品です。それぞれに工夫が見られます。

災害時でもないのに、この種の商品が売れていて売り上げを伸ばしているというのは、どういうことでしょうか? 飽食の裏返し現象、つまり「おいしいものをタラフク食べた後のケア」をしているとしかいいようがありません。
いえいえ、違います。「食をおろそかにしたおろ(そ)かもののケア」なんです、といわれれば、それもそうかとうなずけます。いずれにせよ、必要であることは間違いなしです。

翻って災害時は、普段とは比べものにならないほど、栄養不足で切羽詰まっています。この種の栄養補助食品は健康維持に不可欠。支援物資の食品のうち、熱や水を加えなければすぐに食べられない食品が約半分もあります。これは被災者にストレスこそ与え救済とはほど遠い愚かな支援です。栄養が足りない被災者に「これをどうぞ」と胸を張って差し出す支援策を望みます。それは「元気」の素となる栄養保助食品をもっともっと何十倍も多く増やすことです。そうすれば、被災地に希望の光を与えることになり、気の利いた施策に対して被災者は拍手を送ること間違いなしです。

写真を拡大 ×印:合計349万食のうち×印174万食=約半分がそのまますぐ食べられない。しかも食品の約7割が主食である。

ただし、食べ方、飲み方には以下のように注意しましょう(表)。

保管
方法

・直射日光を避け常温保存

・開封後は要冷蔵

注意
事項

・食物アレルゲン物質要注意(りんご、ももなど)

・各種とろみ剤(ハラール該当者)要注意(ゼラチンなど)

・各種栄養素含有量要注意

・1日必要量の基準値(過剰摂取要注意)
・無防備に欲張ること要注意

 

(了)