暑い夏は衣服の着方に工夫が必要です

まだまだ暑い日が続きます。連日37度越えの地域があるなんてひどすぎますね。そんな中、停電により、エアコンの切れた車内で熱中症となった乗客が緊急搬送されたニュースがありました。

京成線など停電、体調不良15人 「エアコン止まり蒸し暑く」
https://www.risktaisaku.com/articles/-/18934

災害時も、電気が止まると同じことが起こると想定されます。窓を開ける、水を飲むという他に何かできることはあるのでしょうか?

あまりに暑い昨今なので、劇的な効果を発揮するものではないですが、衣類の着方の工夫ひとつで涼しくすることもできるのです。倒れるまでガマンするのではなく、意識のしっかりしているうちに、以下のことを実施してみてください。

まず水を持っていたら、ハンカチなどを濡らし、体や服も水を付けます。また、ネクタイをゆるめ、シャツの上のボタンをはずして、首元を広めに開けます。さらに、シャツはインにせず、かりゆしウエアやアロハシャツの様に外に出しましょう。

なんの変哲もない行為ですが、これらがどうして涼しくなるか、その仕組みを理解しておくと、日常の暑さ対策にも役立ちます。

実は、これは、冬の寒さ対策のすべて逆のことをしているだけなのです

■風の強い日にフリースをアウターに着るのは間違い?!
https://www.risktaisaku.com/articles/-/2071

まず水です。濡れたり、汗をかいて衣類が保水すると、気化熱で体温を奪うことを説明しました。また、風は、風速1メートルの風が吹くと体感温度が1度下がります。そして、空気は自然界最強の断熱材なので、空気をためて動かさないことが寒さ対策のポイントでした。

寒さ対策はわかっただけでは、夏の対策はできないと思っている方もいますが、そんなことはありません。すべてを逆にすれば、暑さ対策になるからです。

気化熱で温度を下げる

夏は、水をつけて気化熱を利用します。汗をかくという作用がそもそも水を使って体温を気化熱で下げようとする作業です。ちなみに犬は汗腺が少なく、これができません。そのため、息を荒くしたり舌を出すことで粘膜状の水分を乾かすことで、やっぱり気化熱を使って体温を下げようとしています。気化熱ってすごいですね。

犬が舌を出すのは気化熱を利用した暑さ対策です

気化熱を人工的に作り出すために衣類を水で濡らしてみたり、首筋に濡れたタオルやジェルを凍らせたものを巻くのも、気化熱利用の体温を下げる方法です。暑い車内であれば、飲み水は残しつつ首筋はペットボトルの水で濡らすなど、気化熱が利用できないか探ってください。

ただ夏の夜間、キャンプのような野外で服を水に濡らすことはお勧めしません。夏でも、土の多い野外だと気温が下がりますので、効果がありすぎるからです。また湿度が高い日は濡れても気化しにくく、場所によっては不快になることもあります。アイデアを覚えるのではなく、臨機応変に対応することが大切です。

空気をためずに風を通す

次に空気と風をコントロールしましょう。空気をためると熱を蓄えるので、空気を動かすためにも風を利用します。うちわで風を送るだけでなく、衣類の形でも風を生む工夫してみてください。夏の衣類はぴったりの服よりも大きめの服の方が涼しいです。ぴったりだと、空気をためてしまい温かい空気を逃さないことになってしまうからです。

そして、ただ、ゆったりした服というだけでなく、かりゆしウエアのように、シャツはインにしないで、パンツの外に出し、首筋をあけると煙突効果によって、涼しくできます。

煙突効果については京都アニメーションの事件でも話題になりました。あまりにもむごく悲しい事件であったために、衣類の着方として紹介することが心苦しくもあります。とはいえそれは、特別な現象ではなく、日常的に存在している現象であることを知っておく事も意味があるかなと思うので、紹介します。

煙突効果
煙突効果(えんとつこうか、英: stack effect)とは、煙突の中に外気より高温の空気があるときに、高温の空気は低温の空気より密度が低いため煙突内の空気に浮力が生じる結果、煙突下部の空気取り入れ口から外部の冷たい空気を煙突に引き入れながら暖かい空気が上昇する現象をいうhttps://ja.wikipedia.org/wiki/煙突効果 より引用

服の下が開いていて、首筋も広く開いている場合、服の内部で熱がこもって暑くなってきたとしても、暖かい空気が上がり、下からそれよりも冷たい空気を取り込むので風がおこります。熱気が下から上に抜けていきます。

だから、この状態が作り出せる、「かりゆしウエア」「ゆったりしたTシャツ」「サスペンダーをつかって、ベルトを使わないワイドパンツ」などは、涼しくなることになります。ネクタイをゆるめるだけでは、煙突効果は起きないので、クールビズを徹底するなら、かりゆしウエアの方がよいことになりますね♪

さらに、大きめの服を着ていると、動くことで、ポンピング効果が発生して、風を作り出すことができます。かいた汗を、風をつかって効率よく乾かすと、気化熱も使えるので、さらに暑さを和らげることができます。

ということで、夏も冬と同じく、水と風と空気をいかにコントロールできるかが衣類の着方で重要になります。

普段から、夏はこのような衣類にできればいいですが、もしできないとしても、被災してエアコンが使えないという状況になったら、すばやく、首元はネクタイをゆるめ、ボタンをはずし、シャツは外に出しましょう。ワイシャツの中にインナーシャツを着ていたら、インナーシャツは脱いでしまってシャツだけになった方が服の間に空気をためず、煙突効果で発生する風が抜けやすくなるので涼しいです。

また、大きめの服である方が涼しいので、子ども用の夏服Tシャツは、ワンサイズ大きめにして、秋になったらその服がぴったりとした服として着ることができるようにすると、暑さ寒さ両方に対応できることになります。

さらに、小学生であれば、夏は大人の服を準備しておけば、大きめの服になるので、子ども専用の備蓄は不要になります。

以上、夏の衣類の着方のコツでしたが、いかがでしたでしょうか?

このところの夏はあまりにも暑いので、衣類の工夫だけでは乗り切れない状態ではありますが、暑い中、エアコンがあることを前提にして涼しい服の着方を意識しないでいると、熱中症の危険も高まります。エアコンが使えなくなる災害時は生死に関わることもあります。できるだけ、暑くない工夫を日常でもすると同時に、水と風と空気をコントロールすればよいことを理解していれば、その場で対応できる方法を探し出す事ができます。臨機応変に対応するには、表面的なアイデアを覚えることよりも、水・風・空気のコントロールという基本事項をおさえておく事が何よりも大事です。

(了)