夏の八ヶ岳!

8月11日(祝)は山の日です♪

夏山!のご予定がある方もいらっしゃるかも。
リュック選びも楽しい時期ですね。

ところで、みなさんの災害用の避難持ち出し袋、重たくないですか?

夏山予定がない方も、登山用のリュックを一度背負ってみていただきたいのです。テントやシュラフ、食料、バーナーなど登山道具一式が入った70リットルなんていう大容量のリュックを背負っても意外と軽いんですよ!

※画像はイメージです

ここに、災害時も荷物が軽くできるヒントがあります。

災害時、リュックがおすすめの理由のひとつに、「両手が空く」ということはだいぶ紹介されるようになってきましたが、ちゃんとしたリュックであれば、軽いということは、あまり知られていないのかも・・と思っています。

アウトドアのリュックが軽い理由、それは2つあると私は考えています。(他にもみつけたら教えてください!!)

ひとつは、揺れない工夫をしていること

揺れると、それを止めるためには質量×加速度(ma=F)の力が必要になので、荷物はその分、重く感じてしまいます。

アウトドアのリュックを背負ってみると、ウェスト部分にもベルトがついています。胸の部分にもチェストストラップがついています。それだけでも他のバックに比べ揺れないというのに、さらに肩の微調整ベルトなど、体にとことんフィットさせる工夫があります。

両肩と腰で重さを分担できるのに加え、ザックを体に密着させることで、背中の摩擦力にも重さを分散できるため、他のバックより、ずっと軽く感じるのです。

初めてアウトドア用リュックを選んだ時、人気の商品を試したのですが、特に荷物は軽く感じず・・・・。そんなものかなあと思って、女性用を試して感動しました。

微調整のストラップをひっぱるたびに荷物が格段に軽く感じたのです。あなどってはいけない、質量×加速度の力!自分の体にあっているってすごい!

アウトドアリュックだと、こんなにも微調整できる箇所があります。

よく、おすすめメーカーは?と聞かれることがありますが、自分の体にフィットしたものがとにかくおすすめ。そんなメーカーをみつけるとほんとに感動しますよー!

で、揺れないカバンを持っていたら、それはそのまま災害時の一時持ち出し袋に最適です。揺れに邪魔されず最小の力で避難できますからね!

2つめは重心を高い位置に持ってくること

次に2つめの理由。それは、重心を高い位置に持ってこれるということです。

登山の世界では、ザックに荷物を詰める際の定石として、「重たいものは上に入れる」というものがあります。寝袋は下に、テントは上にってかんじです。最近、アウトドアグッズはなんでも軽量化されているので、あまり厳密に実践されなくなってきてはいるのですが、それでも効果は絶大です。

理由はこうです。

まず、人の重心はだいたいおへその裏側あたりにあります。

持ちたい荷物の重心が、自分の重心の真上になるように持てば、普通に立っているのと同じように、骨格だけで荷物を支えることができます。それには、少し前かがみになる必要がありますが、荷物の重心が高いほど、前かがみの量が少なくて済みます。

荷物の重心が低くなるほど、前かがみの量を大きくする必要がありますが、あまり極端に前かがみになってしまったら、かえって歩きにくくなりますよね?

だから、歩きやすい範囲でしか、前かがみにはなれません。そうすると、荷物の重心と自分の重心が合わせ切れない分を、腹筋や背筋で支えなければならなくなります。

 

左図だと、aの角度だけ前傾すれば、荷物の重心が真上にきます。そうすると、骨格でささえるだけで荷物を持つことができます。でも、右図のように、重心が下にくると、bの角度まで前傾して初めて重心が揃えられることになります。でも、そこまで前傾して歩くのは非現実的。そのため、筋肉で重さをささえなければならなくなるので、重く感じてしまうし、早く疲れてしまうのです。

ところで、理屈はともあれ、感覚的に重心が上のほうが軽いものなのですが、みなさんの感覚は鈍くなっていませんか?

頭の上に荷物を乗せて運ぶという民族は世界各地にあって、日本でも以前はよくあったようです。これは理にかなっているということですよね。

でも、最近は、中学生、高校生が腰より低い位置でリュックを持っていますよね。重心は低くて揺れています。彼らは鍛錬しているのかな?(笑)電車に乗って移動しているので、重さを感じない?筋肉がある時期だから大丈夫?

中高生も、災害時は、素早い避難のためにはストラップを短くすべしとお子さんに伝えてあげてください!

中高生だけではありません。園児たちの遠足!なんだかぶらぶら揺れる水筒を持っているのをよく見かけます。最近は特に、熱中症対策で昔よりも大きい水筒を持っています。園児の体重に対して、水筒の質量に加速度がかかるのです。それで山を登ろうものなら、足元がおぼつかなくなるのは当然で、園児が鍛錬するにはすこし、過酷かも・・。もしかすると私たち、園時代から鍛錬しているから、重さを感じなくなっている・・???

言ってみれば、赤ちゃん時代から重かったのです。近いうちに 赤ちゃんやこどもを軽くだっこ&おんぶする方法も詳しくご紹介しますが、揺れない、重心が高い昔ながらのおんぶを実施してもらうと、保護者の方が、一番驚かれます。同じ体重なのに、こんなに軽くなるんだって。

現代人は我慢しすぎ?逆に昔の人はどうすれば軽いか、よくわかっていたんだなあと思います。

おんぶもしかり。本を読みながら・・が注目されがちな二宮金次郎像。あの像の薪の位置にも注目してみてください!古い時代につくられたものは、だいたい薪は、おへそより上にありますから!

確かに上部の方が薪が多い!

自分も背負ったことがある人が像を作ったからそうなったのではと推測しているのですが、時には、上部の方が薪の本数が多いものもあります。それだと、重心がさらに上だから、もっと軽いですよね。

でも、時代が新しくなると、その位置では重いし歩けないのでは?という像もあります。歩きスマホを助長するとかで、だいぶ像は減っているそうですが、みつけたら薪の位置を観察してみてください♪

おしゃれなバックの中に、折りたたみで小さくなるリュックを入れておくのもおススメ

そんなことから見ても、現代になればなるほど、どうすれば重たいのか、重たくないのか、体の感覚がにぶっているのかもしれないなあと思ってしまいます。昔より多くの人が物理を習っているはずなのに、生活に生かされてないのかもしれないですね。

ということで、アウトドアのリュックは、揺れないだけでなく、ただ荷物を入れるだけで重心が上になるように、工夫もされていますから、軽い!のです。リュックのよさは両手があくことだけではないのです!
 
1次持ち出し袋としてだけでなく、水など、重く大きな荷物を運ぶ2次持ち出し袋としても、アウトドアリュックが使える理由がおわかりいただけたでしょうか?

そうそう。キャリーバッグを通勤用に利用されている方も多いですね。道路が陥没していないなど、道がフラットであれば大丈夫ですが、タイヤはそもそも半径以上の段差は乗り越えられません。それ以上の障害物がある可能性の高い災害時、持ち上げて運ばなければならなくなるかも・・ということを想定してくださいね!

さて、アウトドアのリュックが軽くて使えるとわかっても、それを毎日持ち歩くにはちょっとというお仕事も方も多いことでしょう。

そんな時も、揺らさない、重心を上にする という仕組みがわかっていれば、臨機応変に対応できます。

揺れるショルダーバックを持っていたら、服の中に入れてもいいです。バックの上からショールなどでしばってもいいです。ガムテープでとめても揺れませんね!(おすすめガムテはまたいずれ♪)

防災バックを買えば解決と思ってしまうと、こんな現場思考が生まれなくなってしまいます。

臨機応変になるためには、基本の知恵が必要です。どんなカバンでも軽くできる知恵、揺らさない!重心を上!これをお忘れなく!

また、おしゃれなバックの中に、折りたたみで小さくなるリュックを入れておくのもおすすめです。山用品で、「アタックザック」と言われるものがあります。酸素の薄い登頂部をめざすとき、滞在時間を短くするため、重たい荷物はベースキャンプ地に置いて、軽い荷物でさっさと登って降りてくる必要があります。軽さを追求したザック、それがアタックザックです。

これがまた素材の進化によって、軽くてコンパクトになることといったら。軽いながらもしっかりしている素材のものは、メインザックにもできちゃうほど。

コンパクトで軽いので、職場で机にいれておいたり、いつものカバンの中に入れて、レジ袋の代わりのお買い物マイバックとして持ち歩ける大きさです。

通常はコンパクトに収納できる「アタックザック」

いつもお買い物バックとして利用していたら、素早く逃げなきゃいけない災害時、持っているカバンをそのアタックザックにいれて逃げれば行動が素早くなります!

そんなに素早く逃げることってあるのかどうかは、みなさんのお住まいの状況によりますからね。

南海トラフで地震が起こった際、揺れている時間が5分あるかもといわれていますが、発災から4分で津波が到着という地域もあります。つまり地震で揺れている最中に津波が・・・。また、火災は火をみて避難では遅い。火を見る前に避難しろと言われています。

荷物の揺れや重さで生死が分かれる場所もあるってことですね。考えたくもないですが、たかがカバンの揺れ、たかが重心と思わないでくださいね!

おまけコラム
小学生のランドセルは、重心が上にくるように工夫されて軽くなっています。体へのフィット感もあります。ただ、走るとやっぱり揺れるので、前をハンカチで結んでチェストストラップ状にすると、よりすばやく走れます。
ランドセルは、ヘルメットかわりにしたり、浮力もあるので、使える場面もあります。ただ、重たい場合は、もたないという選択もありということでお子様といろいろなケースを話し合ってみてください。

今流行のトレイルランニング用のリュック兼ベストもおススメ。でも「もっていかない」という選択も!?

避難道具として、リュックが苦手、装着が難しいという理由でポケットが多くついたベストを避難用に手作りしたという声も聞きます。でも、ベストが体とフィットしていなければ、リュックよりも重くなります。ポケットがおへそより下であれば、そこに荷物を入れて揺れると重たいですよ。

ストラップをつけてジャストフィットさせる。できるだけ上に荷物を入れる等の工夫をしてみてくださいね。

ちなみに、山の競技で最も速さが求められるトレイルランニング用のリュック兼ベストを形状はとても参考になると思います。

揺らさない、重心を上にするの徹底ぶりは半端ないです。

トレイルランニング用のリュック兼ベスト 画像提供:ザ・ノース・フェイス社https://goldwinwebstore.jp/ec/pro/disp/2/NM61523

以上、荷物が軽くなるアウトドアリュックの知恵をみなさんと共有できれば嬉しいです。臨機応変な素早い避難に役立ててくださいませ!

でも、もし、荷物が重くて逃げるのに支障があれば、持たないことも想定してくださいね。

津波がすぐ来ることが想定されている 三重県紀北町、大分県佐伯市、和歌山県串本町などでは、備蓄は高台の倉庫に置いて、住民は何も持たずに避難できるようにしています。

三重県にある高台の倉庫。地域住民の避難道具はここに確保されている

この発想、自然の仕組みを知って、軽さを追求する。でも、リスクヘッジとしてエクケープルートも確保する、というアウトドアの知恵と似ている気がします♪

柔軟な発想で、厳しい自然とも共存していきたいですね!
まずは、この夏、体にあった素敵なリュックがみつかりますように♪

(了)