主要なスポーツイベントは、犯罪からテロ、観客の暴力行為や伝染病に至るまで、さまざまな脅威の影響を受けやすいものです。

それが故に、ホストである政府と主催者は、イベントの安全性とセキュリティを確保するために資金を出し、公約を打ち出します。通常、大規模かつ広い領域のリスク管理を伴うものとなります。

しかし、リオ・デ・ジャネイロ2016夏季オリンピックでは、開催向け後数日間という状況で、セキュリティ上の懸念が高まりを見せています。オリンピックが開催される8月5日から21日の間、リオは50万人もの外国人観光客を迎えます。

テロやジカ熱を含まれる、オリンピック特有な脅威に、主催者、外国スポーツ代表団から、イベントのスポンサー、観客までも、リスクの度合いと緩和策の再計算を余儀なくさせられています。


<重大な事件>
・オーストラリアの選手がオリンピック村での火災退避訓練中に所持品を盗まれました。オリンピック村のホテルの火災報知器が意図的に機能を停止をさせれていたことも報告されています。
・中国のハードル競技の選手がオリンピック村のホテルで手の込んだ詐欺にあい、盗難にあっています。
・2名の警官が、ルーティン業務の車両捜査中にニュージーランドの柔術家を拉致し、逮捕をされたくないなら600ドルを払えと強要しました。
・ブラジル法務省は、開会式まで1週間を切った時点で、リオを拠点とするセキュリティ会社のアルテルとの契約を、能力と責任感の欠如を理由に破棄しました。
・ブラジルの対テロ対策のヘッドである、ルィーズ・アルバート・サラルベリー(LuizAlbertoSalalberry)は、イスラム国がテロを仕掛けてくる確かな証拠があると述べました。
・リオのグアナバラ(Guananbara)港はとても汚染されていて、選手、大会運営者、観客にまで健康被害を及ぼす可能性があります。


セキュリティ
犯罪は、リオの主要なリスクです。旅行者は、スリ、武装強盗、カージャックなどに対して脆弱な存在なので、当局は、警察官のプレゼンスを高めて旅行客の安全確保を高めています。とりわけ、アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港(RiodeJaneiro-Galeao(AntonioCarlosJobim))やViaExpressaPresidenteJoaoGoulart(LinhaVermelha)高速道とアベニーダブラジル(AvenidaBrazil)の空港道路沿いには警察官が多く配置されています。

観光スポットでも警戒が強化されています。観光客が軽犯罪の犠牲になることの多いアベニーダリオブランコ(AvenidaRioBranco)、アベニーダ・ダス・アメリカ(AvenidadasAmericas)、イパネマ(Ipanema)、コパカバーナ(Copacabana)も含まれています。

夜間の外出は人波から離れないようにしてください。特に犯罪の懸念があるフラメンゴ(Flamengo)公園、金融街を避けるようにしてください。一般的に、ホテルの外や公共交通機関、混雑する観光地では犯罪に合う確率が高まると認識しなければなりません。

銀行やクレジット詐欺は日常茶判事といえます。ATM機でのカードクローニング(スキミング)を含め、とりわけ、「エクスプレス」とか「クイックナッピング」と呼ばれる誘拐は、ニュージーランドの選手の最近の誘拐事件からわかるように、市内全域で高い脅威となっています。旅行者にとって現金引出し後に銀行から出たときやATM利用時は本当に危険なのです。

ファベーラ(スラム街)は歴史的に悪名高い犯罪地区です。重武装の、資金源が豊富な麻薬ギャングたちによって牛耳られています。これらファベーラのいくつか警察が正常化したとして、旅行会社がファベーラ内のツアーを企画していますが、一般的なコンセンサスでは、地域に慣れていない観光客や出張者にとってファベーラは、増加する犯罪の被害にあう可能性が高い地区であることにかわらないのです。

4つの主なオリンピック会場は、マラカナ(Maracana)、コパカバーナ(Copacabana)、バラ(Barra)、デオドーロ(Deodoro)にあります。サッカーはベロオリゾンテ(BeloHorizonte)、ブラジリア(Brasilia)、マナウス(Manaus)、リオ・デ・ジャネイロ、サルバドール(Salvador)、サンパウロ(SaoPaulo)で行われます。

騒乱や労働争議
リオの開会式はデモに見舞われるかもしれません。職務停止中の大統領ジルマ・ルセフの支持者や反支持者、オリンピック反対運動家などからなるデモです。7月31日には、約4000人がコパカバーナビーチに集まり、ルセフ大統領の永久的追放を求めました。数週間以内にルセフ大統領の罷免が決定されるので、それまでの間、大統領関連のデモがもっと発生するでしょう。

「TheExclusionGames」の旗の下で活動する社会運動は、オリンピックへの支出が引き起こした社会経済上の不正義を訴えて8月5日にリオ市内の多くの地域で大規模なデモを計画しています。オリンピックへの支出のため、政府は公務員向け資金を大幅に引き下げました。オリンピックに至るまでの数か月から数週間にわたって、医療従事者、教師、警察までも多数のデモを繰り返しました。8月1日から、「TheExclusionGames」運動は、リオのダウンタウンでの行進に続く一連の抗議活動を開始しています。

8月1日:「尊厳の通夜」がCinelandiaで開催
8月2-4日:抗議のイベントが、リオ連邦大学の哲学社会科学研究所で開催
8月5日:大規模な動員が、マラカナ(Maracana)スタジアム近くの、Tujucaのプラカサーンスペナ(PracaSaensPena)で開催

テロ
リオでのテロの脅威は、歴史的に「無視できる」状態でしたが、欧州での最近のテロの急増を考慮すると、テロの脅威に対しより深い洞察を要するようになったといえます。

7月21日、治安担当者は、テロを企てた容疑で12名を逮捕しました。彼らは、複数のオンラインフォーラムで、イスラム国への共感を煽る、ゆるやかに組織化されたグループの構成員たちでした。サンパウロでは、ヒズボラの元メンバーだったレバノン人を拘束されました。彼は、テロ関連者ということでなく、麻薬密売の罪で、2013年以来、インターポールの指名手配されていました。

ブラジルの情報機関は、具体的な標的の名と方法までを記載し、オリンピックの期間中のテロ攻撃を呼びかけるメッセージを、メッセージアプリの「テレグラム(Telegram)」の書き込みした者がいることを発表しました。

ブラジルはテロ対策の取組みを強化するために、多数の外国の情報機関と協力していますが、最大のチャレンジは、情報網に捉えられないローンウルフ型のテロの検知および防止といえます。

警察
リオの警察の腐敗は相当なものです。悪徳警官は、嘘の罪や一見して無意味な違反で逮捕するのを見逃すためと言って「cervejinha‘(チップ’)」を要求します。ポイ捨ては違法であり、その場で罰金を払うことになりますが、悪徳警官の標的となる可能性があります。しかしどんな場合でも、警官への賄賂は止めましょう。そのような行為は禁固刑を伴う深刻な犯罪とみなされる可能性があります。
多くの警察官は旅行者を助けようとしますが、ほとんどの者が外国語を話せません。

警察の助けが必要なときには、DEAT(DelegaciaEspecialdeApoioaoTurismo)と呼ばれるツーリスト向けの警察官に連絡を取ることをお勧めします。

DEATとの連絡を取るには、アフラニオ・デ・メロフランコ通り(AfraniodeMeloFrancoAvenue)、#159にあるレブロン(Leblon)のメインオフィスに行くか、2332-2924、2332-2885/2889に電話をかけてください。

伝染病
国連の専門組織である世界保健機関(WHO)が、ラテンアメリカでの公衆衛生上の緊急事態を宣言した2016年初頭以降、ジカ・ウィルスは世界の悪評を獲得し、多くの報告なされていきました。実際の流行は2015年4月に始まりましたが、当時は、ギラン・バレー症候群を含む先天性欠損症や神経障害を引き起こす病気の証が山ほど出ており、それらがリオ・オリンピックにとっての主要な関心事でした。

イェール大学公衆衛生大学院(YSPH)の新しい研究では、リオ・デ・ジャネイロ市での海外旅行者へのジカ熱の発症リスクは「低い」または「無視できる」というものでした。50万人もの外国人観光客を迎える市では、この研究に従い、最悪のシナリオでもオリンピックとパラリンピックの期間中、罹患する確率は6,200人分の1人から56,300人分の1人と想定しています。YSPHは、6人から80人程度は陽性反応が出ると考え、彼らの内、約50%が感染して母国に戻るだろうと想定しています。これは、3から37人にあたります。エールの研究者は、この数字では、他国で感染が広がるためには少な過ぎると言っています。

それでも、妊娠中か妊娠を確信している女性が、十分な注意を払うべき、さらには渡航延期を検討すべき正当な理由があります。WHOも妊娠中の女性に旅行を控えるよう勧めています。ブラジル当局は今年度登録の10万の症例の内、約7,000件が妊娠中の女性の感染でした。2015年の流行以来、約5,000件のジカ熱感染例が先天性欠損症と関連しています。

6月、WHOはジカ熱の感染状況は「リスクとしては非常に低い」と述べ、オリンピック期間中のブラジルの状況は「管理可能」であると述べました。蚊の活動が弱まる冬の到来を迎え、確かに発症例は減少しています。さらに、ブラジル政府とWHOは、罹患のリスクを軽減するために有益なアドバイスを提供しながら、国民向けの意識向上キャンペーンを継続しています。

旅行者は、蚊を媒介とする疾患としてより一般的な疾患、とりわけ、ジカ熱以上に発症の可能性が高いマラリア、黄熱病、チクングニヤ熱、デング熱にも注意する必要があります。

鉤虫、ハエ、ノミの蔓延による健康被害が、マラリアやデング熱による急性下痢に次いで、ブラジルへの渡航者から多く報告されています。また、疾病管理予防センター(CDC)は、住血吸虫症の罹患を避けるために、淡水湖で水泳を控えるよう、旅行者に注意喚起を発しています。

アンビルのリスクインテリジェンスサービス(TRIS)からの
リオデジャネイロの最新リスク情報:


-7月31日23時45分
 マラカナ(Maracana)スタジアムで爆発
-7月29日4時19分
 メトロの労働者、8月4日にストライキを実施を示唆
-7月28日16時19分
 ブラジルの治安部隊、イスラム国支持の嫌疑者を公表
-7月28日6時13分
 抗議者によりアングラドレイス(AngradosReis)でオリンピック聖火リレーが中断
-7月25日19時42分
 ニュージーランドの武道家、エクスプレス誘拐の被害
-7月24日11時42分
 警察官とギャングが対立
セキュリティアドバイス
•パスポートや貴重品は安全な場所に保管。外出時はIDとなるものやパスポートのコピーを携行。
•ローカルメディアをモニターし、安全に影響する情報を入手。
•常時、周辺の状況をよく掌握。
•金持ちに見られるものは身につけず、多額の現金を携行しない。
•銀行内部か、明るい場所にあるATMを利用。お金を数えたり、財布の中に仕舞う際は十分注意。
•夜間や公園、繁華街での単独行動は避ける。
•見知らぬ者から飲食物は受け取らない。また、飲食物から目を離さない。
•認可を受けたタクシーかホテルの送迎サービスを利用。
•一般的には電話またはタクシーアプリ(「99Taxi」または「EasyTaxi」)でタクシーを呼ぶ方が安全。
•デモには近づかない。予告なく暴徒化する可能性があり。
•暴動に巻き込まれた場合、できるだけ速く脱け出せる箇所を見つけ離れる。

 
健康アドバイス:
•渡航前に海外旅行医学の専門家にリスクや予防法のアドバイスを受ける。
•ジカ熱、マラリア、デング熱のワクチンはないが、黄熱病と日本脳炎のワクチンの摂取は検討。
•窓に網戸を備え、エアコンがついた宿泊施設を選ぶ。
•日中の外出にはDEETまたはPicaridinなどの虫除け剤を利用。
•できるだけ長袖、淡色、ゆったりとした衣服を着用し、虫に刺されないようにする。

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(了)