カナダ・プリンスエドワード島にある、「赤毛のアン」にも出てくるような緑の切妻屋根の家(出典:Shutterstock.com)

始めにお断りです。赤毛のアンの島の対策と書いていますが、厳密な行政による施策ではなく、私が見たゆるい体験記だと思っていただければと思います! 統計をとった調査は今後の宿題とさせてください♪ それでは本文、スタートです。

台風15号が到来して千葉県各地で停電が起こった9月9日、アメリカ東海岸にハリケーン「ドリアン」が襲来していました。

知人がカナダのプリンスエドワード島(PEI)に住んでいます。「赤毛のアン」で有名な風光明媚な島です。ちなみに「赤毛のアン」は現地では通じず、「グリーンゲイブルズ(緑の切妻屋根の)のアン」が正式名称です。

写真を拡大 プリンスエドワード島はカナダ東部の島(出典:グーグルマップ)

嵐への備え

PEIはニューヨークの近くで東海岸に位置するので、ハリケーン・ドリアンの影響は大丈夫かなと思い知人に連絡をとりました。

ドリアンは、PEIに接近するまえに、最大風速(1分間持続)が時速295キロ(カナダは時速表記なんですね)に達し、バハマで史上最悪の被害をもたらしました。そんな巨大ハリケーンが勢力を弱めながらもPEIに接近するということで、ハリケーン前から食料調達や家の周りの片付けなど準備に追われたということでした。

PEIでの主なハリケーン被害は、2003年のジュアンによるものがあります。その時は、最大風速が時速83キロであるにもかかわらず大きな被害が出ています。そのため、今回は事前に備える人も多かったそうです。通常、PEIの自然災害といえば、ハリケーンの他に、ウインターストームがあり、後者の方が一般的です。ですので、人々の意識は、雪、風、氷に向けられがちですなのですが、今回は特に強い風と激しい雨が懸念されたとのことです。

PEIの冬。冬は平均でもマイナス12度で寒い日にはマイナス20度以下にもなる。犬が庭を駆け回るのは日本と同じ。猫は暖房の効いた部屋にいる

ドリアンは結局、PEI近隣のノバスコシア州に上陸し、その猛威を見せつけ、温帯性低気圧に変わった後も、時速100キロ超という最大風速を維持しながら北上したため、PEIでは電力と通信網が大きなダメージを受けたそうです。

ちなみにPEIでは、ガスは都市ガスのシステムがなく、プロパンガスも一部を除いてほとんど普及していません。調理、ボイラーは電気を使用しているので、電気が止まれば調理ができなくなる家が多くなります。

一般的に、PEIでは時速80キロを超える強い風が吹けば、ほぼ毎回停電する傾向にあるようです。ただ、その場合、停電は瞬間的で、長くても数時間もすれば回復しています。ところが、今回は広範囲にわたって長時間の停電、通信の遮断が発生しました。比較的市街地に近い場所でも停電は30時間ほど続き、郊外になると最長で回復に6日間を要しています。

この、PEIでの長期にわたる停電の原因は、緩んだ地盤と強風による大木の倒木によって電線や電柱にダメージを与えた事と考えられているようです。また、被害が広範囲に及んだことで、通常よりも復旧に時間を要したようです。状況としては、日本の台風15号の被害と似ていますね(ちなみに台風15号最大瞬間風速58メートルなので、時速にすると208キロでした)。

今回は、北海道のように普段から涼しいPEIでの夏の停電ということで、市街地周辺の不便さは冷凍冷蔵庫が使えなくなるぐらいでしたが、郊外では、少し深刻な状態になります。上下水道が整備されていない地域では電動ポンプによって地下水を汲み上げ、下水は裏庭の地中に埋設されたタンクから定期的に下水処理システム(自然拡散)に排出せねばならないからです。そのため、そのような地域では自家用発電機の備え付けが推奨されているとのことです。

さらにもしこの停電が真冬に起こったらもっと大変なことになります。PEIの冬はマイナス20度以下になることもしばしばです。カナダの家は断熱保温効果があるファイバーや高密度スチロールで壁や天井が覆われています。それでも最近の暖房システムは電気に頼るものが多く、ヒートポンプや電気式ボイラーなどは単体で1万5000W(ワット)以上の電力が必要になっているので、断熱保温効果維持には限界があります。そこでそれらを主な暖房源としている場合には、予備の暖房手段を確保することが求められます。当然、実施するかどうかは、個人の自由です。

PEIで滑らないように砂をまくトラック

予備暖房として、電気に頼らないシステムであれば薪ストーブ、暖炉、石油ストーブなどがあげられますが、薪は少量では調達しにくく、ストーブの設置や掃除、手入れなどに手間がかかることから敬遠されがちで、一方石油ストーブは、灯油がリットルあたり360円以上と高いので、ほとんど利用されていません。そこで注目されるのは自家用発電機です。

PEIでは、地方の停電対策として推奨されていることもあり、発電機は、ホームセンターでも一般的に販売されています。

ちょうど、千葉県君津市で台風後に講演した際も、多くのママたちから、発電機を購入しようと思うという声がありました。ですので、いったいPEI でどのように発電機が販売されているんだろうと思った写真を送ってもらいました。そうすると、いくつか驚きポイントが出てきたので、みなさんと共有したいです。

対策1 驚きの発電機事情

驚き1 発電機が、ホームセンターでハロウィングッズと一緒に気楽な感じで販売されている(笑)

 

山積み発電機が、楽しいハロウィングッズの前に置かれています。特別な防災用品っていうより、日用品って感じですよね。

驚き2 しかも写真をよく見てください。

 

10000W/8000W!?

2つのW数が記載されているのは、running wattsとstarting wattsです。連続使用できるのは8000Wだけど、短時間だけ1万Wになっても大丈夫という表記です。

この機種以外にも1万W超えがごろごろあります。

比較のため、日本でよく販売されている発電機はというと、

例えば、1800Wの商品がこちら。

ちなみにハイブリット車の発電量が1500Wでした。

クルマから電気を得る方法、V2Hも!
https://www.risktaisaku.com/articles/-/20141

1500Wハイブリッド車でもクーラーや冷蔵庫、炊飯器を動かせますし、1万Wの発電機があれば、マンションのエレベーターも動かせる可能性が出てきます(3500Wくらいから動かせる可能性が出てきますが一部のエレベーターでは1万W以上のものもあるので使えないこともあります)。1万Wは、かなりすごいです。

でも、残念ながら1万Wがお気軽に日本で売られることはないのです。

なぜなら、日本では電気事業法38条というのがあって、1万W以上の発電機は「自家用電気工作物」に該当します。

自家用電気工作物に該当すると、以下の手続きが必要になるのです。

「保安規定を定めて届出する」とか、「維持運用に関する電気主任技術者を選任して届け出る」って、どう考えてもハロウィングッズと一緒に山積みして、家庭で気楽に使える感じでは全然ないですよね。

驚き3 とにかく安い

日本では1万W以上は手続きも大変ですが、値段もお手軽ではありません。1500Wで15万円近くしますから(正弦波だともっと高い)。1万Wだったらいったいいくらになるの? と思いますよね。では、カナダでのお値段を見てみましょう。

 

右側の赤い字がさっきの写真の10000W/8000Wのお値段です。1099.99カナダドル。というと、ちょっと待って! 約11万円!? え! うそ!  って思ってしまいました。日本の1800Wより安いんです。

そして、左側の4450W/3550Wだと、5万円です。日本の2倍の発電量で3分の1の値段。それにしても何でこんなに性能に対して日本より安いんでしょう? カナダの発電機。需要が多いからなんでしょうか? 誰か詳しい方教えてください。

日本の住宅の屋根に載せる太陽光発電は20枚くらいでだいたい5000W発電できます。お値段は200万円弱くらいです。停電対策に太陽光発電はあったらいいなと思うけど、じっくり考えてから導入を考えるお値段ですよね。

 

これに対し、屋根の太陽光発電並みの発電ができるカナダの6500Wの発電機はというと、7万7000円。もちろんガソリンに頼るのはエネルギー政策としても災害対策としても一概には推奨できませんが、それにしても何でこんな値段なんでしょうね?

10000Wで10万円以下の発電機

ちなみに全然関係ないですけど、メープルの国カナダでは日本由来の もみじ も販売されています。有名なのが手向山紅葉(たむけやまもみじ)。お値段3万5000円♪ カナダの1500Wの発電機並みの価格の存在感を見せています。

 

驚き4 CO中毒にならない理由

こんなに発電機が多用されていて、発電機の一酸化炭素(CO)中毒事故ってないんでしょうか?

北海道胆振東部地震の際も発電機の事故がありました。でもPEIではほとんどないんです。なぜかわかりますか?しょっちゅう使っているからかなと思ったのですが、違いました。答えは「容量が大きすぎて、持ち運びも大変で、音も大きすぎて、誰も室内で使おうとは思わない」からだそうです。なるほど!

日本製のものはコンパクトで低音設計のものもあり、すばらしいのですが、それが逆に室内でも使えるかのように誤解を生んでしまっているのかも。日本のステキな発電機は、発電機であるがゆえに室内では使えません。カセットボンベを使っても同じです。それはお忘れなきように。

対策2 無電柱化

次に無電柱化です。最近PEIでは住宅需要の拡大から宅地の開発が盛んで、新たに造成されたところはほぼ無電柱化されています。これは美しい景観を保持することで住宅地の価値を高めるために行われていて、とくに行政主導に基づいたことではありません。確かに電柱がなく、視界に遮るものがない風景はすごく美しいのです。そして、無電柱化となっている地域では停電の被害は少なくなりますし、感電事故への対策にもなります。とはいえ、既存の電線を全て地中化するには莫大な時間とコストが必要なので、既存の場所での無電柱化が進んでいるという訳ではなさそうです。

 

対策3 ラウンドアバウトと4Way StopとDRL

PEIの交差点には信号の他、ラウンドアバウトや4Way Stopがあります。災害の際、停電に影響を受ける信号は、事故につながりかねません。信号を使わないラウンドアバウトとはこんなものです。

PEIの人気ショップもあり、夕日のきれいなスポットであるこの場所は、グーグルマップでみると、ラウンドアバウトになっているのがよく分かります。

 

 

写真を拡大 上空写真からラウンドアバウトの場所は分かりやすい(出典:グーグルマップ)

国内外のラウンドアバウトについては、国土交通省が効果をまとめていて、災害時の停電対策の他、信号がない横断歩道より、歩行者を優先する傾向にあることや、交差点への進入速度を抑えられることから、交通事故対策としての効果が注目されています。

写真を拡大 出典:国土交通省 ラウンドアバウトの効果・検証(https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/roundabout/pdf01/5.pdf

ただPEIでのラウンドアバウトの歴史は浅く、最近になってようやくその効果が確認されたことで導入が拡大されつつあります。今の段階では、車の流れをスムーズにする効果とスピード減少による車両同士の重大事故の抑制効果を期待する側面が強いようで、多くは郊外で設置されています。コストや用地の問題が解決されれば、市街地での導入も増えてくるのかもしれません。そうなれば歩行者にとっても優しい交差点になることが期待されますね。

ところでPEIに行ってすごく驚いたのは、横断歩道に歩行者がいると、車はほぼ100%止まってくれるということです。それも、だいぶ前から止まって待っていてくれます。ショッピングモールから駐車場への横断歩道でも止まってくれて、本当に徹底されています。歩行者と車はアイコンタクトをとって、車が止まってくれたのを待って渡ることがほとんどですが、中には車は絶対に止まると信じてアイコンタクトのない人もいて、ドライバー側が気を使わなければならない場面も多いとのことです。日本では道路交通法道路交通法第38条第6節の2で横断歩道を横断しようとしている歩行者や自転車がいれば、車は止まる義務があります。でも、2018年の日本自動車連盟(JAF)「信号機のない横断歩道での一時停止率の全国調査」によると9割の車が止まっていないことが分かっています。

■2018年JAF「信号機のない横断歩道での一時停止率の全国調査(2018年調査結果)」
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/survey-report/2018-crosswalk

PEIではもともと信号のない横断歩道であっても、歩行者のために止まっていたので、ラウンドアバウトの導入の際に、交通安全としての目的は、意識されることもなかったのかもしれないなと想像しました。


PEIでのラウンドアバウトの説明(North River Roundabout、出典:YouTube)

日本でのラウンドアバウトについては、長野県の軽井沢など、いくつか実証実験されており、安全対策や防災対策も観点もあわせて検証されているところです。園児が交差点の事故に巻き込まれて命を奪われるような事はもう決してあってはいけない事ですね。運転者や歩行者に「気をつけよう」という精神論だけでは、事故は防げないので、ラウンドアバウト導入など、さまざまなシステムの検証が必要だと思っています。

PEIではさらに、信号を使わない譲り合い制度、4Way Stopがあります。信号機を使うまでもない小規模な交差点に採用されることが多いです。PEIではどんなに見通しが良くても交差点ではこの方式(4Way、3Way など)によって一時停止することがほとんどです。これに慣れていると停電の場合でも、ドライバー同士で対処できることになります。

Road Rules 4-Way Intersections(出典:YouTube)

4Way Stopでは全方向に進む車がすべて一旦停止。常に歩行者と自転車が優先。交差点に先についた順に動くことができ、他の人はじっと止まって待ちます。対向車と同時に止まったら直進が優先。その他の人と同時に止まったら右側優先。

また、安全対策ということでいえば、PEIでは昼間でもライトを点灯して走ることが義務付けられています(デイタイムランニングライト、DRL)。このライトは通常のライトとは別の専用のライトです。歩行者や自転車、対向車から、自車の存在が目立つようにし、予防的に安全を図る仕組みなので、欧州連合(EU)では2011年からエンジンをかければ、自動でDRL点灯になる装置が義務付けられています。日本では、2016年からDRL使用が許可されるようにはなりましたが、義務化にはなっていません。日常はもちろん、災害時の安全性を高めるためにも、義務化も今後はあるかもしれませんね。

対策4 公務員への要求が少ない

これもハリケーンやストーム対策というべきものではないのですが、以前イタリアの避難所を書いた際、こんな事も書きました。

イタリアの避難所ですぐ届くもの3つって何でしょう?アルファ米とかお弁当とかじゃないですよ!なんと!?
https://www.risktaisaku.com/articles/-/6286

イタリアでは、被災した地域の公務員は、被災業務をしないで通常業務を実施します。被災業務をするのは支援に入った人たちです。被災地の公務員が泊まり込みで業務にあたるなんて、人権上、問題があるのでありません。被災地の公務員が家族旅行に行ったとしても(行かない人がほとんどですが)誰も責めたりしないということでした。災害時の対応というのではないのですが、PEIでも公務員である教師の普段のしばりが少ないのだなと思った事例がこれです。

 

有料のアスレチックやジップスライドが小学校の横にあるのです。小学生にも大人気のこの場所、経営者は小学校の体育の先生です。先生の副業は禁じられていないので、現役の先生が経営者でも誰も何も言わないし、気にしていません。公務員や教員がひとりの人として人生を楽しむことを誰もが応援している雰囲気を感じます。ちなみに余談ですが、PEIでは先生と相性が悪いからと生徒や保護者が先生を変えてもらうことは普通にあるそうで、クレーマー扱いされるわけではないようです。相性がよくないためにお互いが大変になるより、もっと相性がよい人に先生になってもらうことは、お互いにとっても幸せなことと考えられているようです。

対策5 自分で考えて行動すること 率先避難者になること

PEIの特徴である鉄分の多い赤土

これも対策という訳ではありませんが、もしも、避難しなければならない事態になった際、隣の人が逃げてないから逃げ遅れるなんてことはPEIではなさそうだと思っています。というのも、子どもたちは教育の中で自分で考えて行動するよう、幼少期から徹底されているからです。息子が2歳の時PEIを訪れたのですが、2歳の子連れ親子と一緒に食事に行きました。何を食べると聞かれ、その子と同じ食事を頼んだ息子に、その子はすかさず「NO COPY!」と言いました。常に自分の意見を求められているってことですよね。大事なことだなと思いました。

 

そしてもうひとつ、災害時、たくさん情報を得てもなかなか避難を決断できないという問題があります。これも自分で決断することに慣れていないという幼少期の教育の問題もあるように思っています。例えば、おもちゃの取り合いがあったとします。日本のママたちから子育てあるあるとして、みなさんに共感してもらえるのが、「貸していいよ問題」です。お友達におもちゃを「貸して」と言われれば、国内で、子どもが答えるべき選択肢は「いいよ」一択です。「貸して」と言われれば「いいよ」と言う練習さえします。有名なトロッコ問題よりも選択肢がないです。で、これをPEIでは親がどんなセリフを言っていたかというと「Noの場合は、ちゃんとNoと伝えなさい。そのかわり相手を説得しなさい」というものでした。自分の意見を言っていいんですね。その代わり、自分の意見には責任が伴うということです。PEIで親の全員が子どもにこう言うわけではないですが、自分の意見を述べる訓練をしておらず、周りに合わせるのを良しとする日本の幼児教育からの積み重ねの中にあっては、責任が伴う決断をするのは、ハードルが高すぎることかもしれないと思います。

対策6 物語では家族の規模に合わせて引越し

PEIでは護岸は自然のまま。急峻な山もないので、流れが緩やかであることも理由のひとつ

「赤毛のアン」には続編があり、アンには子どもが6人もいて、子どもが増えるにつれ人数にあわせた家に引越ししていたことはご存知でしょうか? 本の中では島全体が故郷という感覚で、家族が多ければ、たくさん部屋がある学校に近い場所に、歳をとれば、懐かしい生まれた場所にと常に引越ししていました。

今でもPEIではステキな場所のステキな家が「For Sale」となっている所も多いです。中古の家だからと言ってそれだけで価値が下がるわけではなく、持続可能性のある家にリフォームすれば、高く転売することも可能です。日本のように新築の価値が高いがゆえに危険な場所に新興住宅地が建てられ、災害が少なめである場所で空き家が放置されるという問題も起こりにくいです。引越しが重荷でなければ避難しやすいし、危険な場所の家は淘汰されやすいので、新築重視ではない住宅構造の転換についても考えさせられます。

対策7 子どもや高齢者、障がい者に優しい

【クラブツーリズム】プリンスエドワード島州政府観光局提供・赤毛のアンと美しいプリンスエドワード島(出典:YouTube)

親子2人きりでPEIを訪れた際、飛行機の中で息子が激しくぐずりはじめました。飛行機で子どもにぐずられると、逃げ場がないのでつらいですよね。「すいませんすいません」って気分で、席を立とうとしたとき、隣のスーツを着た男性が、「うちもよく飛行機で泣いたよ」と子どもをあやしてくれました。親ではない人にあやされるとかえって泣き止むこともあるので、ほんとに助かりました。

また、入国審査の列に並んでいると、人々が次々と前に行きなさいと譲ってくれました。スーパーマーケットの列でも同じでした。赤ちゃん連れには誰もが親切です。レジのアルバイトのような学生さんが、「赤ちゃんの目がぱっちりしてかわいいね」とか、「赤ちゃんの服の色が素敵だね。どこに売っている?」とかマニュアルではない声かけがとても多く、子連れが受け入れられている感がありました。

PEI のお店。車いすの人が入ろうとしていたら手伝う子どもを見かける

子どもたちが大切にされるからか、PEIの子どもたちは、高齢者や車椅子の人が、ドアの前にいたら、率先してドアを開けたりしてエスコートする場面をよく見かけました。子ども向けアニメのヒーローが、闘うことはほとんどなくて、人を助けたり(レスキュー隊の人とか)人に親切にするとヒーローだという映像を流すことが多い事も関係あるのかもしれません。

虐待や暴力が連鎖すると言われますが、その逆の、親切や寛容もまた連鎖するのではないかと思います。親切や寛容に多く触れると、どうすれば、そうなれるかのモデルケースにたくさん出会えるので、実践しやすいのです。

内閣府の避難所運営ガイドラインでは、すべての人に優しい避難所運営について書かれています。子どもには遊び場を確保することも書かれています。でも、実際は子どもたちはうるさいと言われたり、乳幼児連れは避難所から出てしまうことが多いです。介護が必要な方は、避難所で困難が起こります。みんなが困難に陥る災害時だけ、突然助け合えるわけがありません。日常からの取り組みが災害時に出てくるのだと思います。

以上、7つの対策…とはいえ、厳密な政策の紹介というわけではなく、私の旅行記&主観オンパレードを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

全部をPEIのようにしようという話ではありませんし、どの街にもいいところもあれば課題がまだまだの部分はあります。そして日本の自然も美しく、食べ物もおいしく、温かい人たちがたくさんいますし、日本の方が、時間にきちんとしています。PEIでは地震もないし、災害も少ないので参考になる部分は少ないかもしれません。でも、普段からの生活を、みんなが暮らしやすく、心地よく豊かにすることが、結果として災害対策につながっている、この部分を特にみなさんと共有できたらなと思い、紹介しました。日本でも、もっと工夫できることありますよね!

(了)