前回「トップのメディアトレーニングは必要」と書いたことから、質問がいくつか来ました。「広報がメディアトレーニングしたくても社長が嫌がるんですよ。いい方法はありませんか?」「社長をどう説得したらいいですか?」。皆さんも同じ悩みを抱えていると思いますので、今回はいくつか解決策をお話したいと思います。

広報スタッフが先に身に付ける

広報担当者からのよくある相談をご紹介しましょう。「うちの社長、とても人柄がいいのに失言するので誤解されます」「立派な社長なのに、テレビに映ると姿勢の悪さが目立って自信がないように見えてしまいます」「情熱的に語るのに目を合わせないのです」「質問に対して受け身で、自分のペースで話せないのです」「広報が用意しても全然違う内容になってしまい、困ります」「いつもピンクのチーフをふわっとしたパフ型に入れるので、柔らか過ぎて困ります」「体が揺れるので止めたいのですが」「深刻な話なのに笑顔になるんです。直せますか」「最近、女性記者が増えてきて、身だしなみに気を付けないといけないと思っていますが、社長に言えなくて」「話すときに顎が上がるから、見下しているように見えます」……

このように、多くのケースは広報は気付いていてもなかなか言えない、というのが実態のようです。なぜ言えないのかというと、直し方が分からないからです。逆の言い方をすると、なぜ直さないといけないのか、どうやって改善したらいいのかを説明できるようにすればよいので、自分自身を改善できれば、自信を持って社長に提案することができるはずです。

広報スタッフがトレーニングを受けることで気付くことはいろいろあります。何といってもトレーニングを受けることの大変さが分かります。私も自分の対談動画を撮影しているのですが、それを始めてから、カメラの前で話すことがどんなに緊張するか、頭が真っ白になるかがよく分かりました。言おうと思っていたことを忘れてしまうのです。危機事案でなくても緊張するのですから、危機事案であればもっと神経がすり減ります。話す内容に集中し、外見のことなどは吹っ飛んでしまいます。そこをサポートできるのは広報の人だけです。そのためにも広報スタッフがトレーニングを受けることをお勧めしたいと思います。

社長の悩みを聞いてみる

また、別のアプローチとしては、社長のお悩みを直接、聞いてみることです。広報が用意したプログラムをやることに抵抗を示すことは十分考えられますが、自分の悩み解決になるなら受ける可能性は出てくるからです。

社長のお悩みを聞くと「間が怖いから、あー、えーと言ってしまう」「女性記者の目をじっと見ると失礼になりそうで」「ネクタイの選び方が分からない」など、いろいろ出てきます。そこを切り口に進めます。それを解決するためのプログラムをやりましょう、と一気に話を進めるのです。

「メディアトレーニング=危機事案のトレーニング」と頭に刷り込まれてしまっている場合には、「外見リスクマネジメントをやりましょう」と別の言葉を使ってみてください。会社の危機事案を模擬訓練する危機管理ではなく、「楽しくできるリスクマネジメント」という雰囲気でアプローチすることで気持ちを変えます。自分の会社の危機事案を想定した訓練に、前向きに取り組めないのは気持ちとしてはよく分かります。でも、自分の外見リスクに向き合うのであれば、好奇心が湧いてきて気軽に受けられるのではないでしょうか。社長のお悩み解決、外見リスク、など、いろいろ言葉を変えてボールを投げてみましょう。

(了)