今年も台風15号、19号など災害が頻発しており、とても心が痛みます。

災害が発生する度に、企業による被災地支援の事例がどんどん増えてきており、今や被災地の復興に企業の力は欠かせないですね。今もなお、被災地の復旧・復興にご尽力されている皆さまには本当に頭が下がります。

その上で、その上でですが……

残念なのは、第2回でご紹介した地区防災計画、つまり地域コミュニティの事前の防災対策に企業の活躍が目立たないことです。

先日、都内で内閣府主催の津波防災の日スペシャルイベント「地域と民間企業等との協働による津波防災」のパネルディスカッションに参加してきました。
http://tsunamibousai.jp/

さまざまな企業による津波防災対策への関わりが発表され、防災対策は企業によるリーディングが欠かせないことを実感しました。

今回は、企業がどのように地域コミュニティの防災に関わるかについて考えてみます。

地域コミュニティー防災に関わるメリット

企業の「防災」面での関わり方には2つの視点があります。

1つは、当たり前ですが「本業をどう生かすか」です。生活用品を扱っている企業であれば商品そのものの提供や運搬、社員をボランティア活動に派遣するなど、今や企業の力なくしてスピード感をもった被災対応は成り立たないといってもよいと思います。また、防災対策に役立つ商品開発や技術研究などもあります。自社が有する情報を、公開シンポジウムなどの形式で社会に広く還元し、意識啓発を行っている企業もあります。

2つ目は、地域の構成員としての自社の視点です。自社が立地する周辺地域が防災対策に熱心な地域で、地域を挙げて住宅の耐震化や家具の転倒防止、河川の清掃や堤防の点検などを積極的に行っている地域であれば、そうでない地域と比較して被害の程度が軽減されることは明らかです。地域に被害が発生しなければ、自社への被害影響も少ないでしょう。
 
自社のBCPに取り組む過程で社内の対策は進められますが、周辺地域(特に住宅や企業ビルなど)でどのような備えがなされていて、結果どんな被害となるのかは災害が起こってみないと分かりません。
 
地域の構成員である自覚とともに、日頃から地域コミュニティーとの接点を大切にし、地域の行事や防災訓練に積極的に参加するなどの取り組みは大切です。自社のBCPに地域コミュニティーとの連携を考えることは、決して“地域貢献”の側面だけではなく、自社の被害をも回避する大切な取り組みと考えてよいと思います。

関わり方を模索する ヒントは「人」との接点

1つ目の視点、本業をどう生かすかですが、下記のようなことを考えている企業さんは多いのではないでしょうか。

「うちの会社は商品を扱っていないし、本業は防災に関係ないしなあ」
 
そんな時に思い浮かべていただきたいのは、自社が提供する商品サービスと「人との接点」です。防災対策で一番大切なことは、“人の命”を守ることです。
人の命を守ることができるのは誰か。これも人だと思います。

例えば、ネット通販を利用すれば、物を運んでくださる運送業者の方がいらっしゃいます。品物を受け取る。つまり、運送業者の方の「手」から注文者への「手」に物が手渡されるわけで、「人」の接点があります。

もし、皆さんの会社が提供しているサービスが消費者に直接、接していない業態でも必ず取引先の「人」を介する部分があるはずです。それは全て防災、つまり、その接点の先にある方の命を守る対策につながります。
 
そんな視点で考えていただけると、皆さんの会社でもできることはたくさんありませんか? アイデアが浮かんだら、ぜひ教えてくださいね。

岡山県里庄町のラインワークス導入とケーブルテレビ

とても良い事例があるのでご紹介します。岡山県里庄町は人口1.1万人の小さな自治体です。

町では防災行政無線を整備する予算がなかなか確保できなかったことから、町内の公民館分館長さん37人にLINE WORKSのアプリケーションをインストールしたスマートフォンを貸与し、避難情報などをスマートフォンへ情報配信を行う取り組みを始めました。

このお話を聞いた時、システムとしては確かに便利!と思ったのですが、でも、地域の役職者の方って年配の方が多いですし、スマホ使えるのかしら、と心配になりました。

ところが、この運用部分で地元のケーブルテレビ会社さんが活躍されています。聞けば里庄町では、地元のケーブルテレビ加入率が大変高いのだそう。このケーブルテレビの社員さんが日頃から町内のご家庭にお邪魔することも多いことから、スマホの使い方、ラインワークスの使用面のサポートをしてくださっているそうです。

写真を拡大 里庄町の分館長連絡システム

この工夫をお聞きした時、「なるほど!」と感心しました。町では、これまで役場から分館長さんに電話連絡して、分館に設置している拡声器から地区内に放送していただく内容を口答でお伝えし、それを分館長さんが書き取り、拡声器から自ら呼びかけしてくださっていたそうです。これにはかなり手間と時間がかかっていました。これでは緊急時には混乱を招きかねません。

その解決策として防災行政無線を導入したかったのですが、費用がすぐには確保できなかったことから、スマホのラインワークスの導入を思い付かれたとのこと。さらに、町の大切な資源であるケーブルテレビ会社さんを頼ることで、運用面での不安を払拭することができつつあるとのことです。

これは、町の資源を熟知している役場職員の方が、「どこに人と人との接点があるのか」をきちんと把握されているからこそできた仕組みだと思います。

いかがでしょう。皆さんの会社でも何かできそうな気がしてきませんか? ぜひ、1歩前に踏み出してみてくださいね。

(了)