「BGAN EXPLORER510」(画像提供:日本デジコム)

災害時に使える通信機器について、代表的なものを紹介する。東日本大震災以降、どれも使いやすく、小さく進化しているのが印象的だ。もし、3.11直後に導入しているものがあれば、新しいアイテムを検討してみてはいかがだろうか。取材を通してわかったことは、どれも災害時に「確実につながる」保証はない。地域特性やオフィスの状況に合わせて最適なものを、できれば複数種類用意する。そして「誰に何を伝えるか」を明確化し、訓練を通じて実効性を検証することが重要となる。通信手段確保のみに特化した訓練を開催するのも有効な手段の1つと言えるだろう。

編集部注:「リスク対策.com」本誌2015年11月25日号(Vol.52)掲載の記事を、Web記事として再掲したものです。(2016年9月5日)

1.衛星携帯電話
災害時通信の必須アイテム。最近はさらに小さく、薄くがトレンド。Wi-Fi対応によりスマホアプリで話せるものも

特徴
理論上は、地上がどのように破壊されても通じるのが衛星携帯電話。東日本大震災を受け、多くの会社が導入している。最新機種はどこでも持ち運べるように小型化、軽量化しているのが特徴だ。最近では「衛星Wi-Fiルータ」も出現。衛星からルータが電波を受け取るため、普段使っているスマホにアプリをインストールし、衛星携帯電話として使用することができる。iPhoneに装着するタイプもあり、今後のさらなる進化に注目したい。日本国内では使用する衛星サービスによってインマルサット、イリジウム、スラーヤ、ワイドスターの4つに分類される。

課題
どのキャリアも衛星を捕捉する必要があり、使うには訓練が必要。基本的にはビルの屋上など見通しのいい屋外でしか使えないと思った方が良い。都心では衛星方向に高層ビルがあれば屋上でも使えないことも。通信費用は各社横並びだが、通話料は通常の携帯電話に比べてかなり割高となっている。

取扱事業社:NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、日本デジコムなど

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2.MCA無線
普段使いにも適する、全国通信が可能な業務用移動通信システム

特徴
全国8地域に114の中継局を持ち、業務用無線として北海道から沖縄まで全国通話ができる。阪神・淡路大震災から東日本大震災まで、どの災害でもほぼ正常に稼働した強い実績を持つ。1対多の一斉同報通信機能や限られたグループ内のみでの通信ができるほか、オプションでGPSも装備することができ、運送会社の運行管理や工場内でのコミュニケーションなど、普段使いにも適している。通信費用は月々定額で、割安感がある。

課題
使い方自体は単純だが、携帯電話のように一見して使えるものではないので利用には訓練が必要。通信チャンネルを共用するため通話時間は3分に制限されているが、結果として輻そうにも強くなっている。全国通話が可能だが、一部地域では中継局がなく使えない場所もあるので注意が必要だ。郊外に工場がある場合などでは必ず近くに中継局があるか確認した方が良い。

取扱事業社:エムシーアクセス・サポート

3.IP無線機
パケット通信が生きていれば可能性は無限

特徴
3Gなどのパケット通信帯域を利用して無線網を構築するのが特徴。GPSの位置情報に合致した高度緊急地震速報や津波警報、Jアラート、Lアラートを受信できるほか、さまざまなアプリを利用することができるので可能性は無限だ。一斉同報通信などに対応している機種もある。ただし「パケット通信網が生きている」ことが大前提となる。

取扱事業社:テレネット、ソフトバンク、KDDIなど「HAZARDTALK」

 

4.デジタル無線機
基地局の設置で地下にも高層階にも強い

特徴
通常のアナログ無線機を進化させ、デジタル対応した無線機。基地局などを介したIP接続やVPN接続により接続距離を大幅に伸ばした。中継局を駆使すれば地下から地上数十階まで無線でつなぐこともでき、商業施設や運動場などでも威力を発揮する。公共周波数を利用するため総務省への登録申請が必要。

取扱事業社:アイコム、モトローラ、JVCケンウッド、スタンダードなど

 

 

5.PHS
東日本大震災で威力を発揮。防災専用キットも

特徴
災害時には携帯電話よりも通信規制がかかりにくいとされるPHS。初期費用、ランニングコストも低価格なため、ぜひ非常時通信のバックアップで持っておきたい。待ち受け1400時間分の乾電池をセットした防災専用の備蓄キットも販売されている。

取扱事業社:レスキュープラス、Y!mobile

(了)