アクサ・アシスタンス・ジャパン(株) 代表取締役社長兼CEO 鈴木匠氏

企業向けに、海外赴任・出張する社員の安全を守るサービスを提供するアクサ・アシスタンス・ジャパン。同社がその経験を活かし、中小企業向けの低価格帯プランを開発。この4月から提供を始めた。アクサグループが前身の日本団体生命時代から80年以上に亘って培った商工会議所との信頼関係を生かし、120万社の会員事業所に対して、アクサグループの卓越したリスクマネジメントを活かすことで、「年会費1社あたり6万4800円かつ緊急避難時における企業の実費負担なし」というサービスを実現する。昨年7月から新社長を務める鈴木匠氏に開発の想いを聞いた。

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アクサ・アシスタンス・ジャパンは、2009年に誕生し、日本企業向けには、海外出張者・赴任者の現地医療手配や緊急避難のサポート業務を主力として提供してきた。

これまで同社が対象としてきたのは一部上場しているような大企業。このサービスは企業ごとに個別見積もりが必要で、規模や要望に合わせて年間数十万〜数百万円の年会費のほか、実際に緊急避難事案が起こればその都度実費がかかる。状況によっては総額で年間1千万円近いコストは大企業にとっても少なくない額だが、安全配慮義務への意識の高まりと国際情勢の不安定化の中で需要は上昇傾向にあり、100社以上の顧客企業が契約するサービスとして定着してきた。
 
昨年7月にアクサ生命の営業担当役員職から、アクサ・アシスタンス・ジャパンの代表取締役に就任したのが鈴木匠氏。社長就任した鈴木氏が違和感を持っていたのは、大企業が取引先の中小企業を伴って海外出張・海外進出するに際して、万が一への備えが十分ではないケースが多かったこと。「大企業の社員は救援するが、一緒に同行する中小企業は救援しないで本当に良いのか。何かソリューションを出せないか」と考えたのが、今年4月2日から提供を開始した新サービス「商工会議所の海外危機対策プラン」だ。


ノウハウ駆使し革新的価格へ

中小企業の経営者にとっては、元請けの大手企業から海外出張の同行依頼があれば、危険な地域であってもそれを承知で社員を送らざるを得ないケースもある。また、たとえその経営者が安全配慮義務を守ろうと思っても、少人数の社員の安全確保のために年間数百万円を投資することは、事業そのものの基盤を揺るがしてしまい兼ねない。「中小企業経営者にとっては、リスクを知っていても対処する術がない、というのが本音だったのでは」と鈴木社長。

自社の持つ価値をいかに多くの企業に提供できるか。昨年夏から企画を練り始めて約1年弱で今回の商品化にこぎ着けた。こだわったのは中小企業の経営者が手に届きやすく、わかりやすい価格設定。幸いグループ会社で保険事業を担うアクサ生命は、1967年以来、生命共済制度などを商工会議所会員の福利の増進に資する共済・福祉制度として引き受け、今では日本国内511の商工会議所から同制度を受託するなど、強固な信頼関係を築いてきた土壌があった。

今回のサービス実現のカギは、サービス対象を商工会議所に所属する約120万社の中小企業会員に限定したこと。膨大な会員企業をマスとして捉えることで、個別の中小企業との契約では到底難しい価格設定ができると見込んだ。もう一つのカギは、グループの卓越したリスクマネジメントのノウハウを活かしたこと。「世界最先端の知見を使い、独自のリスク算定基準を採用。フランス本社とも何度も協議して、今回かなり革新的な価格設定を実現できた」と鈴木社長は自信を見せる。

 
新サービスでは、従業員100名以下かつ商工会議所の会員企業であれば、従業員数、出張回数にかかわらず、年会費6万4800円(税込)の一律価格で提供。さらに今回は緊急避難のために必要となるチャーター便手配、延泊、護衛の費用まで、従来のサービスでは契約企業に請求していた実費負担を、社員本人とその家族ともに一切無償にした。

アクサ・アシスタンス・ジャパンが提示した「商工会議所の海外危機対策プラン」のメニュー

皆に頼られるパートナーになりたい

大企業向けの従来のプランでは、専用のモバイルアプリを配布し、駐在・出張中の社員の安全をリアルタイムで把握し、何か緊急事態があれば瞬時に一斉通知し、24時間稼働するオペレーションセンターを通じていつでも緊急避難手配が可能な体制をとる等の追加サービスも販売している。一方今回の中小企業向けプランでは専用アプリなどは配布せず、契約企業の役職員が危険を感じたときにコールセンターに電話すれば、必要に応じて緊急避難の手配を行う。サービスを必要最小限に絞り、低価格・実費なしを実現する。一般的な海外旅行保険と組み合わせて利用することで、海外出張・赴任時に想定される大抵のリスクに対する備えを従来にはない価格帯で実現した。
 
これまで同社ネットワークでは入り込めていなかった中小企業マーケットを新たな顧客対象と捉え、課題解決を提示する新たなサービス。グループ全体でも中小企業の事業継続に対するサポートを戦略の最上位の一つに掲げているため、フランス本社をはじめ世界中の拠点からの注目度も極めて高いという。

実は鈴木氏もかつて10年ほど前に、3年ほどアクサグループのフランス・パリ本社に勤務した経験がある。当時は日本の工芸品や最先端のものづくりを紹介するため、日本の全国各地の商工会議所がそれぞれの地場中小企業とともに展示会出店に訪れる姿を何度も目の当たりにしてきた。自社のサービスがそのような中小企業の安心を支えることへの感慨は大きい。「単に保険金を支払うPayerではなく、より多くの企業経営者や社員の方々に頼ってもらえるパートナーとなっていきたい」(鈴木社長)。

■アクサ・アシスタンス・ジャパンが2018年4月から提供開始する「商工会議所の海外危機対策プラン」の紹介ページ
https://www.axa-assistance.co.jp/ja/lp_security_assistance_cci/

 

鈴木匠(すずき・たくみ)氏

京都府生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、アクサ ニチダン生命保険(現 アクサ生命保険)入社。 生命保険事業の営業推進・商品企画・プロジェクト管理を務める。2007年から2010年までアクサグループ パリ本社出向などを経て、2014 年 より執行役員 アクサコーポレート推進本部長。 2017 7 月にアクサ・アシスタンス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 兼 カントリーマネージャーに就任。ヘルスケア事業ではアジア地域の統括責任者を務める。


アクサ・アシスタンス・ジャパン株式会社

1959年スペインに設立したGESA(グローバル・アシスタンス会社)を源流に、日本では1989年インターパートナー・アシスタンス・ジャパンとして営業開始。2009年、組織変更により現在のアクサ・アシスタンス・ジャパンが誕生。全世界34カ国に拠点を持ち、200カ国をカバーするグローバルサービス拠点の一角を担う。フランス大手保険グループアクサの一員として、プライベートジェットや同伴医師を擁して全世界に医療搬送するネットワークインフラを活かし、メディカル(渡航先での病院紹介、手配、医療搬送)・セキュリティ(渡航先の緊急事態時の退避・安全確保)・ホーム(国内の日常生活のトラブルや健康相談)の分野でサービス展開している。

 

(了)