TIS株式会社は、災害時の迅速な初動対応を実現する危機管理情報共有システム「Bousaiz」の販売を開始した。
東日本大震災では災害対応の要とも言える「初動の72時間」で様々な混乱をきたし、甚大な被害をもたらした。「Bousaiz」はプライベートクラウド基盤を使用することでサーバそのものの被災を免れるようにしたほか、スマートフォンやタブレットでも入力ができるようにインターフェイスを配慮。身近なデバイスでの情報共有を可能 にした。災害対応の明暗を大きく分ける危機管理情報共有システムの開発コンセプトを探る。

 

 

TIS株式会社は、金融機関をはじめ、公共機関、製造、流通、サービス業など、業界のインフラを支える様々なシステムの構築を40年以上にわたって手掛けてきた 国内有数のシステムインテグレーター。企業や自治体の基幹業務を知り尽くしたTISがこのたび販売を開始した危機管理情報共有システムが 「Bousaiz」だ。 

2013年に矢野経済研究所が全国200の自治体(都道府県は含まず)に対して行った防災情報システムに関する調査によると、安否確認システムを導入している自治体はわずか17%、災害掲示板に至ってはわずか6%の導入という結果が出た。ただ、防災システム自体への関心は高く、地域によって多少の温度差はあるものの、全体の55%の自治体は防災情報システムについて関心を示す結果となった。

「Bousaiz」 は以上のようなリサーチ結果を踏まえ、開発コンセプトを「被災しないシステム」「被災状況の共有と一元管理」「身近なデバイス利用」に集中。「災害時の迅速な初動対応に本当に必要なシステムは何かをコンセプトにシステムを開発しました」と同社公共・宇宙事業本部公共ソリューション推進部長の林伸哉氏は話す。

3つの大きな特長
「Bousaiz」の特長は大きく3つある。まず1つ目がプライベート(占有型)クラウドで提供するシステムだ。これはクラウド基盤上に利用者ごとに仮想的なプライベート環境を設けるシステムで、個人情報などの機密情報を守りながら初期費用、運用コストも大幅に削減できるメリットが ある。また、利用者ごとに独自機能の開発やシステム連携なども対応可能で、クラウド基盤は要望にあわせて選ぶことができる。 

2つ目は情報の「時系列管理」災害。発生時には、気象庁発表の速報にもとづくYahoo! 災害速報と連動し、安否確認が立ち上がり、自動的に登録メンバーに発報され る。もちろん、台風や雪害など局部的な災害に対しては手動発報も可能だ。安否確認ではまず「安全」「困難」「危険」の3つから自分の状況を選択する。する と、自動的に「災害掲示板」が生成され、掲示板に写真などの情報を織り交ぜながら自分の状況を書き込むことができる。モバイル端末の位置情報を「オン」に しておけば、地図情報とも連動。状況や写真情報が自動的に地図に貼り付けられ、全員で情報を共有することも可能だ。 

3つ目はマルチデバイス対応。PCだけでなくスマートフォンやタブレットでもストレスなく利用できる。このシステムのユニークな点は、あらかじめ部署ごとにグループを作成 しておくことで、自分が所属するグループ全員の安否状態を把握することができる点だ。例えば同じグループのメンバーが危険な状態にあれば自ら助けに行くこ ともできるし、他のメンバーが救助に向かっている状況が掲示板で確認できれば自分は対策本部へ駆けつけるといった行動の選択が可能になる。

も う1つユニークなのは「グループ」の考え方だ。通常の部・課単位でのグループ分けはもちろんのこと、複数の部署を横断した「グループ」設定も可能。さらに は消防や警察、教育機関などとのグループや、災害協定を締結する団体とのグループ設定も可能にした。共有先を広げることで、被災時の初動における様々な団体とも情報の共有を実現している。もちろんDMAT(災害派遣医療チーム)などとの情報共有は今後必須になってくるだろう。ある程度対応が落ち着いた段階では、オプション機能として必要な情報をフォーマットにあわせて、エクセルに出力することで報告書の作成も可能だ。

通常活用で緊急時に難なく使用 
災害時にシステムを使いこなすには普段から使用していることも重要だ。「Bousaiz」では平常時から活用できる「グループトーク」と「お知らせ」機能を 持たせている。「グループトーク」はTwitterのように限定されたグループで情報を共有したりディスカッションできる機能。「お知らせ」は Facebookのように防災訓練などのイベント告知や訓練の結果報告などを掲載することでメンバー全員が状況を把握できる機能で、平常時から防災意識の向上と啓発をはじめ、コミュニケーションツールとして役立てることができる。この2つの機能はもちろん災害時にも使用することができ、特に「グループトーク」は限られた部署内でコミュニケーションができるため、全員が共有するまでもない情報が掲示板にあふれかえるという心配もない。

多様な要求に応える危機管理情報共有システム

林氏は「このシステムは現在、主に自治体向けに販売を開始していますが、一般企業のBCP 対策としても、安否確認に留まらない情報共有や、コミュニケーション可能な危機管理情報有システムの必要性は、SCMの観点からも今後、間違いなく注目されるでしょう。使用例としては、教育機関で平常時に「お知らせ」機能でイベント情報を流し、「グループトーク」で不審者の情報共有を行ったり、医療機関や大型マンションの情報共有システムとしても利用が可能です。これからもさらに様々な形で、お客様の危機管理情報共有システムに関する要望に応えていきたい」と今後の展望を語る。

契約形態は、一例として利用人数200 名の場合、初期費用50 万円~、年間利用料96 万円~(すべて税別)。クラウドを使用しているため、もともとリーズナブルな価格設定になっているが、この契約体系であれば自治体だけでなく一般企業や教育機関なども導入がしやすいだろう。

【お問合せ】
公共・宇宙事業本部公共ソリューション推進部
〒160-0023東京都新宿区西新宿8-17-1住友不動産新宿グランドタワー 
TEL03-5337-4506

【関連記事】
特別企画 なぜ今、情報共有が求められるのか
元岩手県防災危機管理監越野修三氏に聞く 「3.11における情報共有」