※画像はイメージです

先日12月12日、特定非営利活動法人国際環境教育機構(OIEE)が主催する「みなと危機管理シンポジウム」( https://www.minato-kiki-sympo.com )に登壇してきました。今年のテーマは、「大規模災害が発生!?その時どうする?みんなのトイレ問題」。ご一緒したのはこちらの方々です。

(写真提供:特定非営利活動法人国際環境教育機構(OIEE))


向かって右から、2005年に発生したJR福知山線脱線事故や、東日本大震災では岩手県で被災地医療の最前線で活躍された、防衛医科大学校救急部兼防衛医学研究センター准教授の秋冨慎司先生。
http://www.ndmc.ac.jp/instructor/akitomi_shinji/

右から2番目は、マンションの災害対策、特にトイレ対策についてパワフルで楽しいファシリテーションで防災イベントを盛り上げる「Community Crossing Japan」の吉高美帆さん。http://communitycrossing.net

そして中央は、トイレといえばこの方!NPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さん。http://www.toilet.or.jp

向かって一番左は、港区防災危機管理室防災課地域防災支援係係長匂坂直康さん。
https://www.city.minato.tokyo.jp/soshiki/kikikanri-index.html

みなさま、災害時のトイレ問題のプロ中のプロ!今回のパネルディスカッションで、最新の防災トイレ事情をお聞きできたので、今回はトイレについて語ります!(左から2番目が私です。)

1、発災直後、トイレに水を流すのはNGです!

写真を拡大 東京防災 P200より抜粋

熊本地震のとき、昨年東京都が発行した「東京防災」のトイレについての左のページが多数シェアされていました。それを見て、以前に防災講座に参加してくださった方から、「これを実践したら大変なことになりませんか?」とメールが速攻きました。何が大変なことになるかわかりますか?

「東京防災」では洋式でも和式でも、「断水していても排水できる場合は、バケツ一杯の水で排泄物を流すことが可能」とあります。

しかし、「発災直後は、トイレに水は流さない方がよい!」というのがパネルディスカッション登壇者共通の意見です。

イラストのように、バケツで水が調達できる場合であっても、トイレタンクに1回分の水が残っている場合であっても、水は流さない方がよいのです。なぜでしょうか?

特にマンションが問題になります。日本トイレ研究所の加藤さんによると「地震で排水管が損傷を受けやすい」とのことです。外部から見てもわかりません。被災地ではマンションの上の階の人がトイレを流すと、排水管が損傷していて下の階で水漏れが発生したケースがあるのです。「水が潤沢にあろうとも流さない方がよい!」それを常識にしてください!

私がこれを、「まちみらい千代田」(https://www.mm-chiyoda.or.jp)で講演しようとしたら、すでに「発災直後に水はあってもトイレに流さないほうがよい」という知見がシェアされていました。千代田区では、災害対策としてマンション理事さんの横のつながりづくりを重視されてたために、すでに勉強済みだったのです♪

「発災直後は、トイレに水は流さない方がよい!」。このことは皆さんのマンションや職場で、常識になっていますか?

特に下の階の方。マンションでの防災を他人ごとだと思っていたら、困ることになりますよ!マンション理事会や総会で話し合ったり、みなで情報を共有してくださいね♪

参加者の方から、マンションの全員に徹底するため、トイレ内に貼っておけるようなお知らせを配布したいとのアイデアがだされていました!

そもそも、なぜ、地震で、水を流してもよいかのように伝わってしまったのでしょうね。推測でしかありませんが、地震で水を流して大丈夫だった人が「大丈夫な事例」を広げた一方で、マンションでのトイレの損壊は資産価値の問題もあり、情報が拡散されなかったこと。また、排水管は壊れていない「一般的な断水や停電」の対策が地震対策と誤解されて広がってしまったことがあるかもしれません。

TOTOなどトイレメーカーのHPには、緊急時の対策として水を流す方法が書かれています。

http://www.toto.co.jp/aftersupport/dansui_teiden/dansui.htm

TOTO広報部にお聞きしたところ「インフラが壊れた場合の対策ではなく、断水や停電時に、トイレメーカーとして、便器から外に出す方法のご案内」ということです。最近の節水タイプトイレでは、電気で水を流すものが多いので、やりかたを間違えると詰まらせてしまうからです。排水管が壊れた場合の処置の案内ではありませんので、ご注意を!

東京防災 P55より抜粋

 

 

 

 

 


「東京防災」では、「在宅避難」のページ(55P)に上図のように書いていますが、前述の流せるイラスト(200P)のほうが大きく書かれているので、誤解されている人が多いです。下水があふれるなど目にみえた被害がなくても、排水管が壊れているケースがあるので「確認がとれない段階では、水を流さず備蓄してある災害用トイレを使用!」を徹底していただきたいです♪

2、 一戸建てなら水を流していいの?答えは・・

では、一戸建てならいいの?ということですが、流れるかどうかは運まかせで、流してはじめて大丈夫だったかどうかわかるもの。危険を受忍できるなら流してみるのもありかもしれませんが、詰まらせてしまうと、下水道が復旧しても長く使えない状況になります。

マンションと同じく、確認できるまでは流さないほうがおすすめということでパネルディスカッションではまとまりました。

3、初動が大事 トイレ司令塔を!

水があっても流さないのですから、とにかく、初動が大事になります。誰かが用を足してしまっては困ります。自宅ならトイレに災害用トイレを常備して、使い方を周知して、誰もがすぐに使えるようにしたいですね。

自宅やオフィスのトイレの目につくところに1回分を設置して、初動を迅速に

加藤さんによると、学校や職場では「災害時トイレ係」という名称だと気分が下がってしまうので、「トイレ司令塔」にするといいよとのアドバイス。

「トイレ司令塔」!!いいですね。家庭でも学校でも職場でもテンションあがりそうです♪

4、災害時っていつ?何を基準に設置するの?

災害時っていいますが「いつ災害用トイレを設置しますか?」と会場から質問がありました。加藤さんによると、よくある質問なのだとか!

でも地震で、いつ排水管が壊れるかはケースバイケース。それぞれで決定するしかありませんが、緊急地震速報が鳴る「震度5弱」を目安にすることはできるとのこと。施設の状況にあわせて、話し合いが必要ですよね!

また、最新式のトイレは電子部品を多く使用しているため、断水していなくても、電気が止まってしまうとトイレが流れなくなる場合があります。地震に限らず停電の時も、設置すると決めておいたほうがいいかもしれませんね。

5、自宅のトイレが使えなくても避難所に行けばいいなんて甘い!

「自治体まかせにしてはいけない。首都圏は避難所の数が足りないからトイレも足りない」と吉高さんも力説されます。東日本大震災でも避難所への仮説トイレの設置にかかった日数は、4日以上が66%にもなっています。

「マンホールトイレ 整備・運用のためのガイドライン」国土交通省HPより。出典:特定非営利活動法人日本トイレ研究所「東日本大震災3.11のトイレ―現場の声から学ぶ―」2013年
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000288.html



4日もがまんできるわけがありません。まず自宅や職場での準備、そして、がまんではなく!カバンに!災害用の携帯トイレを入れて持ち歩いてほしいです!

さて、いかがでしたでしょうか。

皆さんの職場やご家庭のトイレ対策、もう一度考えてみませんか?

来週はいよいよ「では何をどのくらい備蓄するか」「避難所のトイレはどうあるべきか」などについてお話ししたいと思います♪

(了)