北朝鮮のミサイルに大きく揺れた1年だった(出典:Wikimedia Commons)

年明けにも大きな動き

今年大きく動いた北朝鮮情勢。ミサイル発射や核実験が繰り返され、この夏にはJアラートが東日本で2回発動された。防災行政無線などシステムが作動しなかった市長村があったほか、交通機関も一部運転を見合わせるなど混乱も見られた。日本大学危機管理学部次長である福田充教授に展望を聞いた。

福田教授は「年明けまでに危機的状況が近づきつつある」と危惧。来年(2018)中にも北朝鮮による核ミサイル実戦配備宣言がなされる可能性もあることを示した。「北朝鮮は日本を標的としたノドンをすでに実戦配備済みで、核の小型化、弾頭化に成功すれば10~20基の核ミサイル配備能力を持つことになる。もはや交渉の段階は過ぎている」と分析。金正恩・朝鮮労働党委員長は核ミサイルの保有が体制の維持につながると確信していることから、この動きは止まらないと見通している。

米国の先制攻撃も危惧される。トランプ政権は北朝鮮の核兵器保有、実戦配備を認めない方針で、北朝鮮の核ミサイル配備宣言があった際には、米国による軍事的先制攻撃の可能性が高まる。「米国と北朝鮮との間の戦闘、軍事作戦であるが、その攻撃の拠点となる在日米軍基地は、北朝鮮からのミサイルやテロの攻撃目標となる可能性が高い」と福田教授はみている。

国内では3月から秋田県男鹿市をはじめ多くのミサイル対応訓練が実施された。しかし「北朝鮮のミサイル、核問題が発生して20年以上たつ。2003年に国民保護法ができ、Jアラートの運営は2007年に始まっている。もっと早く国民への周知を徹底すべきだった」と福田教授は指摘。メディア報道や政府の広報活動などによって社会教育を強化し、避難訓練の実施により社会の備えを進めることが大事だと述べる。