2018/10/05
東京2020大会のリスク対策
Q:ホテル不足に関連して、首都圏の企業への影響や対策はありますか?
夏休みは毎年恒例の大きなイベントがあるという企業や業界も多いでしょう。しかし2020年の大会期間中は、都内で開催予定されているイベントは開催場所やスケジュールを再検討する必要があるかもしれません。遠方から参加する人にとって、宿泊場所が見つからない、料金が高い等の不便をかけることになりますし、混雑が大きくなればイベント運営上も大きな支障をきたすかもしれません。
宿泊者が増えれば、公共交通機関や道路の混雑も予想されます。競技会場近くで大きな影響が予想されるエリアの企業に対しては、国からテレワークや時差出勤の要請があるかもしれません。それ以外の地域でも、五輪を契機に、今のうちから自主的に社内体制を整える企業が増えれば、テレワークが五輪のレガシーになるでしょう。
一方、ホテル業者にとっても、従業員の労務が過度に集中するリスクがあります。従業員を増やして平時よりも稼働率を高めて乗りきるという判断もありえますが、近年人手不足感が高まっており、従業員の確保ができるのかなど、ボトルネックになる要因がないかを再度確認すべきだと思います。
このほか宿泊施設含め周辺の小売・飲食・サービス事業者では、現地通貨に慣れない外国人旅行者の方への会計業務対応で混雑が心配されます。とくに期間中は熱中症対策の面で小まめな水補給が欠かせませんが、自動販売機では現金しか使えない場合もあります。小銭で購入する小さな買い物をキャッシュレス化することは旅行者にも販売者にもメリットがあると思います。日本で遅れている世界基準のキャッシュレス対応を、開催地東京から率先して導入してほしいですね。
(了)
東京2020大会のリスク対策の他の記事
- 五輪中のホテル不足、周辺エリアで吸収可能
- 五輪で通勤や物流の混雑対策、企業は必須
- 【講演録】国際的大規模イベントのセキュリティ対策
- りんかい線、コミケの経験五輪に生かす
- 五輪での熱中症をどう防ぐ
おすすめ記事
-
情報セキュリティーは個人のリスク目線では通用しない
学生時代からパソコンを使いこなしてきた人が新入社員に多くいる昨今ですが、当然、個人と会社ではセキュリティーの重心が違います。また、人事異動で新たに着任した社員も、業務が変われば情報資産との関わり方が変わり、以前と同じ意識でのぞめばよいとは限りません。新年度にあたり、情報セキュリティーのルールは特に徹底したいところです。
2024/05/10
-
-
サイバーインシデント対応の基本知識と準備
本勉強会では、一般的な情報セキュリティインシデントとサイバーインシデントの違いや、その初動対応について事前に準備すべきことと合わせて、自社で手軽に訓練・演習を実施するためのポイントを解説します。2024年5月8日開催。
2024/05/09
-
-
炎上の原因はSNS上の振る舞いのみにあらず
新年度から仲間に加わった新入社員は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、友人とSNS で交流するのがあたり前の世代です。が、学生時代と違い、社会人になれば取り巻く環境が変わり、自身の立場も変わる。うかつな投稿が「炎上」につながるケースは少なくありません。新人研修のテーマにSNSリスクを組み込むなどして教育を徹底したいところです。
2024/05/08
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月7日配信アーカイブ】
【5月7日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:令和5年度企業の事業継続及び防災に関する実態調査
2024/05/07
-
-
-
家庭の防災は企業BCPとつながっている
昨今は社員の自主防災力向上に努めている企業も多いでしょう。この時期は災害時のルール周知に余念がないと思いますが、ポイントとして提案したいのが、家庭の防災と企業BCP のつながりをしっかり伝えること。「家庭と会社は別」と考えがちですが、家庭の防災力を上げないと企業の事業継続力も上がりません。メッセージを出すよいタイミングです。
2024/05/02
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方