2019/08/27
企業をむしばむリスクとその対策
□解説:戦略的リスクマネジメントのポイント
毎年1月にスイスのダボスで「世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)」が開催されます。ダボス会議は、全世界から政治やビジネスのリーダーが集結し、世界・地域・産業の問題を提起し、世界情勢の改善に取り組むことを目的にしていますが、ここで2005年からリスクの専門家たちが「その年から10年間に顕在化が懸念されるリスク」をまとめたグローバルリスク報告書が提出されるようになりました。Bさんが感じたように、過去に報告されたリスクは、これまで高い確率で顕在化していると言わざるを得ない状況にあり、毎年発表される報告書は、日本企業でも重要な情報として認識する必要があります。
不確実性のリスクは、企業の経営戦略、中長期計画や新規プロジェクト、企業の買収、市場開拓など、企業の未来に関係するリスクが対象となります。「戦略的リスクマネジメント」とも言われ、その概念は「企業の経営判断にリスクマネジメントをフルに活用し、企業価値を創造する」というものです。そのためには、情報収集およびその情報を基に世界情勢や社会環境の変化を読み、常に対応準備を行う必要があるのです。
労働者の低賃金だけを目的に海外に工場を建設し、製造部門を全て海外に移転。それにより長年培った技術力やノウハウが流出してしまい、海外企業との価格競争に巻き込まれた結果、世界の市場を奪われてしまった某製造業の例など、これまでの日本企業では戦略的リスクマネジメントを活用しなかったために多大な損失に発展したケースが後を絶ちませんでした。
企業をむしばむリスクとその対策の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月14日配信アーカイブ】
【5月14日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:行動指針の意義
2024/05/14
-
-
情報セキュリティーは個人のリスク目線では通用しない
学生時代からパソコンを使いこなしてきた人が新入社員に多くいる昨今ですが、当然、個人と会社ではセキュリティーの重心が違います。また、人事異動で新たに着任した社員も、業務が変われば情報資産との関わり方が変わり、以前と同じ意識でのぞめばよいとは限りません。新年度にあたり、情報セキュリティーのルールは特に徹底したいところです。
2024/05/10
-
-
サイバーインシデント対応の基本知識と準備
本勉強会では、一般的な情報セキュリティインシデントとサイバーインシデントの違いや、その初動対応について事前に準備すべきことと合わせて、自社で手軽に訓練・演習を実施するためのポイントを解説します。2024年5月8日開催。
2024/05/09
-
-
炎上の原因はSNS上の振る舞いのみにあらず
新年度から仲間に加わった新入社員は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、友人とSNS で交流するのがあたり前の世代です。が、学生時代と違い、社会人になれば取り巻く環境が変わり、自身の立場も変わる。うかつな投稿が「炎上」につながるケースは少なくありません。新人研修のテーマにSNSリスクを組み込むなどして教育を徹底したいところです。
2024/05/08
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月7日配信アーカイブ】
【5月7日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:令和5年度企業の事業継続及び防災に関する実態調査
2024/05/07
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方