2019/09/09
セキュリティ文化の醸成と意識の高度化 ~2020年に向けて私たちにできること~
ボランティアスタッフは善人ばかりではない
日本だけではなく海外でも、ボランティア活動は人々の善意で成り立っています。時給が支払われるわけではなく、現地までの交通費や宿泊費さえ自分持ちというイベントも多くあります。それでも、イベントを一緒に楽しみたい、成功に導きたい、誰かの役に立ちたいという想いを持つ人々が集まり、イベントを支えています。こうして善意で集まってくれたボランティアスタッフに対してバックグラウンドチェックをするなんて、と拒否反応を示す人もいます。しかし、そこに集う人々の安全のためにはできることはする、このひとつにスタッフへのバックグラウンドチェックというセキュリティ対策があるのです。
海外に目を向けると、ボランティアスタッフに対するバックグラウンドチェックは必須項目です。このチェックを明確に義務付けている国もあります。アメリカではいくつかの州ではボランティア団体などへスタッフとなる全員に対し警察による身元や指紋のチェックを行うことを要求しています。警察のチェックがある、という事実はよからぬことを考える人々はボランティアには応募しないという一種の抑止効果にもつながります。
最近はテロ組織と直接関係を持たず、犯歴もないという若者によるテロや犯罪も発生しています。そのため、警察によるチェックがクリアとなっても、気になる(不審な)点がある応募者については各団体でさらに詳しく確認をします。その人物のSNS等をチェックし、どのような日常生活を送っているか、繋がっている友人に怪しい人はいないかなどを調査し、人物の見極めを行います。さらに、ボランティア管理システムVMS(volunteer management system)というツールにより、登録されているボランティアスタッフ個々のバックグラウンドについても確認することができます。
日本は、プライバシーや個人情報保護という意識が強く、バックグラウンドチェックにはどちらかといえば消極的ですね。私自身は、ボランティア全員が同じレベルのバックグラウンドチェックを受ける必要はなく、要人や選手などの身近で活動するスタッフや、セキュリティレベルの高いエリアで業務を行うボランティアスタッフには適切なバックグラウンドチェックを行うべきと考えています。しかし、そのためにはボランティア活動を実施するエリアに対してのセキュリティレベル分けと、バックグラウンドチェックの項目の明文化が必要となります。これらもまた日本人が苦手なことかもしれませんね。
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