1.はじめに

ノロウイルスは、1968年に米国オハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者の便から発見されたことからこの町の名前がつけられ、ノーウォークウイルスと呼ばれていました。

ノロウイルスの電子顕微鏡写真(出典:ウィキペディアおよび米国環境保護庁)

その後、電子顕微鏡でこのウイルスが他のウイルスと比べ小さく、球状であることがわかり、小型球状ウイルスの一種と考えられました。さらにこのウイルスと似た球状で小型の非細菌性胃腸炎を起こすウイルスが次々と発見され、ノーウォークウイルス、ノーウォークウイルス様ウイルス、あるいは小型球状ウイルスと呼ばれていました。

2002年に国際ウイルス分類委員会で小型球状ウイルスはノロウイルス属とサポウイルス属に分類され、今日に至っています。

ノロウイルスは例年11月以降に流行すると言われ、流行のピークは12月~2月です。このウイルスはヒトからヒトへの伝播力がきわめて強く、集団発生した場合には、その主たる原因が集団食中毒(※)によるものか、あるいは発端者を中心としたヒト-ヒト感染によるものか、判別できないことがしばしばあります。

(※)食中毒と胃腸炎との違い:食中毒は細菌、ウイルス、化学物質などの汚染された食物を口から摂取しておこる病気、胃腸炎はヒトからの感染によって起こる病気。