2020/04/09
英国のサイバーセキュリティー
英国の社会 : 基盤の拡大
産業界の先には、より幅広い社会における人材の育成があります。誰もがサイバー専門家である必要はありませんが、英国の91%が定期的にネットを使用している現状において、問題は起こらないだろうと高をくくっているわけにはいきません。
現在英国のサイバーセキュリティー教育は、小学生向けの基礎的な学習から、高校でのコーディングとICTの課題、そして英国で働く4万3000人以上のサイバーセキュリティーのスペシャリストの育成を支援してきた、NCSC認定のサイバーセキュリティー研究のアカデミック・センター・オブ・エクセレンスによる全課程を網羅した大学教育に至ります。また、奨学制度を通じ若者のサイバーセキュリティーへの関心を高めることを目的とした11~17歳を対象とするCyberFristプログラムをはじめ、未来のサイバーセキュリティー専門家を発掘し、奨励し、そして世へ輩出するためのさまざまな取り組みを進めています。
社会基盤の拡大で重要な役割を担っているのは、多様性です。誰もが同じことを考えるならば、同じリスクを特定し、同じ解決策を考え出すだけでしょう。従って、英国の思考の多様性を高めるために、私たちは成人女性と少女の参画を増やすことに重点を置いています。CyberFirst Girlsコンペティションにはこれまで約1万2000人が参加しています。
国際的なパートナー:協働での取り組み
最後に、英国政府は国際的にサイバーセキュリティーに取り組んでいます。サイバーリスクは真に国際的な問題です。脅威に対抗する際に、それがどこから来たのかを見極めるのは簡単な場合もあれば、困難で不可能な場合もあります。国内だけでなく、他の同じ志を持つ国との協調体制や情報共有は強みを発揮するでしょう。人材や多様性を生み出す英国の国内でのアプローチと同様に、海外のパートナーと協働することは、新たに生まれる脅威を理解し、それに対抗する選択肢の範囲を増やすことにつながります。
NCSCは昨年、日本を含む56カ国の政府の訪問を受け入れ、ベストプラクティスを共有しました。私たちはまた、敵対的な攻撃を抑止するために行動するとともに、ロシア、中国、北朝鮮をはじめとする国が関与した敵対的な攻撃に対し、世界のパートナーたちと団結しました。そして、サイバー空間のルールを設定し、それが安全で全ての人に開放され続けるために、協働して取り組んでいます。
信頼
上記は全て、英国が直面しているリスクを軽減し、英国が最も安全なデジタル経済を保証するために行っている取り組みの一端に過ぎません。それは大きな使命であり、やるべきことはたくさんあります。私たちはすでに国家戦略の次の段階について検討を始めており、来年度にはいくつかの重要な発表が予定されています。
最終的なミッションは、私たちの経験を土台に、適切なスキル、適切な専門知識、そして完全に連携したオールUKアプローチを構築することです。そのミッションは、サイバーセキュリティーに関する方針や産業界、学界における日本のカウンターパートの皆さんとのより一層の協力が必要となるものであり、日英をサイバーセキュリティーにおいて重要なパートナーとするものなのです。
今後の連載では、英国のサイバーセキュリティーのパズルの特定の部分をより詳細に見ていきます。
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