■レジリエンスはすでに証明されている力

レジリエンスという力は、けっして理論や仮説、流行語のようなものではありません。心理学者が長年にわたって多くの逆境に強い人々-戦争や災害のトラウマ、大病を乗り越えた人々などを調査した末に特定された力なのです。つまりレジリエントな人々が実在していること自体、この力が実際にあることを何よりも雄弁に語っているわけです。

上津屋橋(出典:ウィキメディア・コモンズ)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nagarebashi-02.jpg?uselang=ja

レジリエンスという言葉は、心理学だけでなく、さまざまな現象や事象にも当てはめることができます。例えば京都の上津屋橋で有名な木製の「流れ橋」。大雨で増水したとき、ふつうの構造の橋では水圧やガレキで橋全体が破壊される危険がありますが、この橋はわざと橋げたを流出させて抵抗を減らします。あとで橋げたを掛け替えれば早く復旧できるのです。

私たちの体内に宿る「免疫力」や「ホメオスタシス(恒常性)」も、レジリエンスを備えていると言えます。免疫細胞は自己と他者(異物や細菌など)を区別して、必要なら他者を攻撃します。ホメオスタシスは寒さや暑さ、病気などで体調が崩れそうになると、体温や血液の成分を一定の安全な状態に保とうとする働きがあります。

防災やBCPの分野でも、しばしば「レジリエンス」という用語が使われています。「災害からの回復力」という意味ですが、国の施策などに見られる「強靭化」という言葉も、レジリエンスと同義ととらえてよいでしょう。

このように、レジリエンスという柔軟かつ適応性のある力のありようは多種多様です。次回はレジリエンスを高める3つの要素について考えてみます。