出張禁止は57%

国内出張や移動については「原則中止」「同一都道府県内なら可能」「特定警戒都道府県には禁ずる」など、対策のレベルを聞いたが、57%が「原則中止」。首都圏を対象にした調査では76%だったことから、禁止の割合としていた割合は低い。三密を避け、出張・移動を禁止が20.3%、同一県内なら出張・移動可能も15.2%あった(グラフ3)。

対策本部会議を開催しない企業も

さらに、首都圏企業との差が顕著になったのが対策本部の設置だ。災害時には、事前に計画した体制・対応のもとに、定期的な対策本部会議などによって移りゆく状況を的確に把握し、対応を微修正していくことが求められる。調査では、組織の意思決定機能を支える対策本部会議の開催状況についても聞いたところ、対策本部会議については執行部や役員を含む対策本会議を実施しているとの回答が45.6%(首都圏企業を対象にした調査では63.9%)と突出して高くなったが、特に対策本部会議は実施していないが38%もあった(同18.1%)(グラフ4)。

そもそも地震災害への危機意識も低い

主に首都圏内の企業を対象とした調査結果との違いが顕著に表われた原因はどこにあるのか?


首都圏の方が感染状況は深刻で危機意識が高かったことが推測されるが、もう1点は、今回の主に兵庫県内の企業を対象にした調査では、中小企業が多かったことが理由として考えられる。


中小企業の危機管理は、感染症対策に限らず総じて大企業に比べ低い。昨年度時点のBCPの策定状況を見ると、感染症以外(自然災害等)については策定している組織が5割弱。主に首都圏を対象にした調査では7割がBCPを策定していたことからその差は歴然としている(グラフ5)。

調査を実施した木村氏は、「今回の新型コロナをきっかけ・教訓にして、BCPなど事前に備える体制を強化してほしい。今後も調査・分析を進めて行き、新型コロナにおける企業等の対策の実状や教訓を整理していきたい」と話している。