2014/09/25
事例から学ぶ
「リスク対策.com」VOL.45 2014年9月掲載記事
営業路線は全線合わせて195.1km、駅数は179駅、1日の利用者数は673万人にのぼる東京地下鉄株式会社(東京メトロ)。一般的に「地下は水害に弱い」と思われがちだが、実際はどのような水害対策を施しているのか。水害における地下鉄の本当の課題は何なのか。東京メトロを取材した。
2009年1月、中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」は、荒川堤防決壊時などにおける地下鉄等の浸水想定について発表した。その結果、現況程度の止水対策を前提とした場合には、17路線、97駅、全長約147kmの路線が浸水するケースや、堤防決壊後3時間余の短時間で大手町駅などの都心部の地下の駅が浸水するケースがあることが確認された。一方で、地下鉄駅等の出入口やトンネル坑口に止水対策を施せば、完全な止水でなくても浸水区間を少なくすることが可能であることも確認されている。
過去の地下鉄浸水被害
都内の地下鉄における過去の浸水被害は、1993年8月の台風11号による浸水と、1999年8月の集中豪雨による浸水などがある。前者の浸水は銀座線虎ノ門駅から赤坂見附駅間で、溜池山王駅設置に伴う大規模改良工事を行っていたところ、その工事区域から雨水が浸入した。後者は、工事中の銀座線溜池山王駅や、半蔵門線渋谷駅、建設中の南北線麻布十番駅でも浸水した。
東京メトロ鉄道本部安全・技術部防災担当課長の木暮敏昭氏は「工事区間からの浸水のほか、駅出入口の止水板設置が遅れたことによるものもあったことを踏まえ、気象情報を早期に把握し、迅速な対応を取ることを徹底している」と話す。
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