フェイスブック ジャパンの長谷川代表取締役(右から3人目)は災害対策への貢献について語った

フェイスブック ジャパンは1日、震災復興コミュニティのページに「いいね!」などのアクションやコメント、投稿のシェアが行われた場合、1回あたり10円の寄付を行うと発表した。福島県浪江町など3団体が対象。同日、対象団体を東京都港区の同社に招き、「震災復興コミュニティサミット」が開催された。

対象となるページは浪江町のほか、「くまもと友救の会」と「阪神淡路大震災1.17 希望の灯り」。2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、1995年の阪神・淡路大震災といずれも大地震からの復興に取り組んでいるほか、フェイスブックを通じた情報発信やコミュニティ作りに取り組んでいる。「『未来につなぐ、いいね!を贈ろう』プロジェクト」と題し、フェイスブック ジャパンの公式ページや3団体のページでこのプロジェクトや各団体の活動を紹介する投稿を行う。アクションやコメント、シェアが行われた場合、フェイスブックから寄付が行われるという。

浪江町は2017年3月に避難指示区域の一部解除が行われ、現在約490人が町内にいる。出席した浪江町企画財政課財政管財係の近野悟史係長によると、フェイスブックは震災や福島第一原発事故に関する正確な情報やイベントの告知のほか、「町内コミュニティの再構築や維持、帰還した人やまだ避難している人、新たに町に来た人など新たなコミュニティの創造に役立つ」と評価。コミュニティ再生やボランティアの管理のほか、高齢者の働き場づくりや2020年に完成予定の道の駅の運営などを手がける、まちづくり会社の運営に寄付金を充てる方針。

「くまもと友救の会」の松岡亮太・代表理事は「仮設住宅の団地同士をデジタル機器でつなぎ、自治会間の会議などができるようにしたい」と意欲をみせた。「阪神淡路大震災1.17 希望の灯り」の藤本真一代表は「阪神・淡路大震災の写真のデジタル化や学校教育の副読本作成などを行いたい」と説明した。

フェイスブックは東日本大震災をきっかけに日本発で災害用伝言板のプロトタイプを作成。2014年の「災害時情報センター」を経て、2017年から「災害支援ハブ」に改められた。安否確認機能のほか、「コミュニティヘルプ」という物資やボランティアといった支援提供と要請情報の掲示、災害関連記事・動画・画像へのリンクといった機能がある。世界で1000回超起動し、延べ約30億人が利用している。このほど企業・団体も「コミュニティヘルプ」に投稿できるようになった。

フェイスブック ジャパンの長谷川晋代表取締役は「日本語版提供10周年を迎え、日本社会の課題を成長機会としてとらえられるよう貢献したい」と説明。災害対策については「発生前に人のつながりで啓蒙などを進め準備をする。発生時はつながりによる助け合いで乗り越える。発生後は被災経験の共有と、コミュニティの再生に努めたい」とし、フェイスブックの生むつながりが災害準備や復興に貢献できる旨を述べた。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介