「Guardian72」の説明をする有馬社長(右)。左奥は法律相談窓口の組織に携わる嵩原弁護士

ミューチュアル・エイド・セオリーは23日、「Guardian(ガーディアン)72」と題した、災害時に役立つ備蓄品を詰め合わせたボックスの配送事業について東京・千代田区の霞山会館で記者発表を行った。備蓄品を受け取った被災者向けに無料の法律や医療相談の窓口を設けるほか、5月10日付で一般社団法人防災支援システム研究所を新設。防災士育成や寄付に関する業務などを行う方針。

ボックスには食料品や水、衣類、衛生用品など生活に役立つものを概ね1人向けに3日分詰め合わせる。通常時は備蓄倉庫に保管され、災害発生時に、既に1箱に詰められている「Guardian72BOX」が避難所に届けられる。価格は1箱あたり2万円。企業などからの寄付や、CSR対策費・防災対策費などでの購入を見込んでいる。「Guardian72」の取り組みは公共性の高いプロジェクトとして、BCM格付融資の対象としても認められる。

備蓄品を受け取った被災者向けに、法律と医療の相談窓口が設けられる。法律は弁護士による一次相談窓口を設け、電話とネットで24時間365日、無料で相談を受け付ける。相談内容によって、その内容の得意分野の弁護士に仕事を割り振っていく。記者発表に出席したフォーゲル綜合法律事務所の嵩原(たけはら)安三郎弁護士は「24時間365日対応のため、1000人程度の弁護士を組織したい」と語った。

医療についてはオンライン医療事業を主に手がけるアナムネ(anamne)が相談を受け付ける。こちらも電話とネットで24時間365日、無料で受け付ける。被災者に届けられるボックスにはシリアルナンバーが記載されており、法律も医療も相談を受け付けた際にこの番号で相談者の管理を行う。

5月10日付で設置される防災支援システム研究所では、「Guardian72」を支えるための防災士育成のほか、企業などからの寄付や賛助に関する業務なども行う。IHI相談役の釡和明氏や元千葉県知事の堂本暁子氏らが理事を務める。ミューチュアル社の有馬朱美社長は、「Guardian72」の取り組みについて、内閣府には自治体のボックス購入原資となる、ふるさと納税や省庁間協力、総務省には消防面などで協力を仰いでいることなどを説明。「2020年6月までに日本の人口の10%にあたる1280万セットの備蓄を目指す」とした。

また、ミューチュアル社は主に東京23区の企業向けに被災者支援目的とは別の自社用備蓄品を1万8000円で販売している。これについては保管を購入企業が行い、発災時は企業社員が利用する。4月に、三井グループの企業が自社社員向けとして初めて購入したという。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介