中古車販売大手ビッグモーター(東京)による保険金の不正請求問題を巡り、損害保険各社は被害を受けた保険契約者への対応を急ぐ。ビッグモーターに水増し請求分の返還を求めるとともに、不要な修理のため保険の等級が下がり保険料が割高になった契約者には等級を元に戻す手続きを行う。
 ビッグモーターの兼重宏行社長は25日の記者会見で「速やかに再修理や返金を含めた対応を進める」と述べた。
 同社が2022年11月から行った自主調査によると、23年7月16日時点で8427件の保険金申請のうち少なくとも1275件で不正請求が判明。水増しした金額は4995万円に上り、1件当たりに換算すると平均約3万9000円になる。今後も調査は続く見通しで、被害がどこまで膨らむかは未知数だ。三井住友海上火災保険は25日、ビッグモーターの不正請求を受けて専用窓口を開設し、対応に乗り出した。
 三井住友海上や損害保険ジャパンなど大手損保3社は、ビッグモーターに出向者を出し、保険販売の指導や助言などを行っていた。兼重社長は会見で「私も損保も(不正を)全く認識していなかった」と強調したが、不正を見逃していた損保側の責任を問う声もある。金融庁は多数の出向者を送っていた損保ジャパンに対し、保険業法に基づき報告命令を出すことも視野に、ビッグモーターの実態調査を進める。
 鈴木俊一金融相は25日の臨時閣議後会見で、出向者の果たしていた役割について事実確認を進めていると強調。ビッグモーターに保険販売を委託していた損保各社についても「契約者保護に欠ける問題が確認されれば法令に基づき厳正に対処する」と述べた。 
〔写真説明〕保険金の不正請求問題を受け、記者会見する中古車販売大手ビッグモーターの兼重宏行社長(左)=25日午後、東京都港区

(ニュース提供元:時事通信社)