人手不足で空港の保安検査場の混雑が深刻化する中、警備業法が定める有資格警備員の配置基準を緩和する試験的な運用が始まったことが29日、関係者への取材で分かった。緩和には、高性能の手荷物検査機を設置するなど特定の条件を満たす必要がある。7月中旬から羽田空港の一部の検査場で試行されている。
 警備業法に基づく規則では、一つの検査レーンごとに、「空港保安警備業務検定1級」の国家資格を持つ警備員1人を配置しなければならない。一方、航空需要が新型コロナウイルス流行前の水準に戻りつつある中、コロナ禍で警備員が大量に離職した影響で有資格警備員を十分に確保できず、一部レーンを閉鎖しているため、混雑が続いている。
 今回の試行運用では、隣接する2レーンを1級資格を持つ警備員1人で担当することを可能とした。ただし、2レーンとも高性能の手荷物検査機が設置され、レーン間にゲート型金属探知機がある場合に限られている。
 高性能検査機は「CT型機内手荷物用X線検査機」などを想定。全方向から荷物を確認できるため、従来機より検知・解析能力が高いという。保安検査を所管する国土交通省は、保安上の理由から試行について「コメントできない」としているが、CT機の導入など条件が整えば各地の空港でも運用が始まる見込みだ。
 警備業法を所管する警察庁は2019年8月、手荷物検査用機器の性能や情報通信技術の利用次第では、1級資格の警備員1人を隣接する二つの検査レーンに配置できるとする通達を全国に出した。今回の試行は、この通達などを踏まえている。 

(ニュース提供元:時事通信社)