【ワシントン時事】米国防総省は19日、中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書を公表した。報告書は、中国が今年5月時点で運用可能な核弾頭を500発以上保有していると推計した。2030年には1000発以上になる見通しだといい、急激な核戦力の増強に懸念を示した。
 昨年の報告書では、中国の核弾頭保有数を400発超と見込んでいた。報告書は「この増強ペースは35年まで続く」と予測。国防総省高官は記者団に「中国が核戦力をさらに増強し続けるならば、米中の意思疎通はより重要になる」として、軍・国防当局間の対話再開を求めた。
 報告書はまた、核弾頭を搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)について、中国が22年に少なくとも300発分の格納庫を新たに完成させたと指摘。さらに、米本土の大半を射程に収める新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「JL3」の配備も進めていると述べた。核弾頭の保有数の増強だけでなく、核戦力の「近代化、多様化」も急ピッチで図っているという。 
〔写真説明〕北京市内に展示された中国の中距離弾道ミサイル「東風17」=2022年10月

(ニュース提供元:時事通信社)