【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは23日、ガザで拘束していた85歳と79歳のイスラエル人女性2人を解放した。ガザ保健省は24日、イスラエルの空爆で5791人が死亡したと発表。イスラエル側と合わせた死者数は計7100人を超えた。AFP通信によれば、イスラエルを訪問中のフランスのマクロン大統領は24日、「すべての人質の解放が最優先事項だ」と訴えた。
 200人以上とされる人質の帰還を重視する国際世論は高まっており、米国はさらなる解放の時間を稼ぐため、地上戦の延期を求めたとされる。ただ、イスラエル軍は24日も空爆を継続。地上戦に向けた準備を進めている。
 女性2人の解放は、ハマスとイスラエル双方の当局が公表した。これにより、解放された人質は20日の米国人親子と合わせ計4人となった。
 マクロン氏は24日、ヘルツォグ大統領、ネタニヤフ首相と相次いで会談。その後の記者会見でイスラエルへの連帯を表明しつつ、ハマスに対し「人質を全員解放するよう求める」と呼び掛けた。
 イスラエル軍は24日、過去24時間でガザの400カ所以上を空爆したと発表。ハマス戦闘員が潜むトンネルのほか、「モスク(イスラム礼拝所)内の拠点」も対象にしたという。
 イスラエルはガザ住民に対し、北部を離れるよう求めているが、南部でも空爆は激化している。ガザの保健省は23日、空爆で南部を中心に436人が死亡したと公表した。
 南部に逃げた住民が北部に戻るケースも出ている。ロイター通信は、避難先の南部で空爆を受け、両親や親戚を失った住民(18)の「安全と言われていたのに、裏切られた」という声を伝えた。
 一方、レバノン南部と国境を接するイスラエル北部では、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラとの戦闘が拡大の兆候を見せている。国連の国際移住機関(IOM)は23日、イスラエルがヒズボラとレバノン南部で銃撃戦を展開したと明らかにした。この影響で、レバノン側の住民1万9000人以上が避難したという。
 AFPは、レバノンで戦闘員や民間人少なくとも40人が死亡したと伝えた。 
〔写真説明〕23日、イスラエルの空爆により破壊されたパレスチナ自治区ガザの住宅で、生存者を捜す人(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)