【エルサレム時事】イスラム組織ハマスの壊滅を目指すイスラエルが連日パレスチナ自治区ガザに行っている空爆について、米国や国連などは、人道的側面から一時停止を呼び掛けている。ロイター通信によると、国連安全保障理事会は25日午後(日本時間26日午前)、米国が作成したガザへの物資搬入のための「一時的な戦闘停止」を求める決議案と、対案としてロシアが提出した「即時停戦」を求める決議案を採決にかける。
 一時的な戦闘停止は、ガザで極度に不足する食料や水、医薬品などの支援物資搬入を継続するのが目的。地上侵攻の準備を進めるイスラエルに対する国際社会の圧力は強まっている。
 ガザを実効支配するハマスの当局は25日、パレスチナ側の死者が7日の衝突開始以降、計6546人に上り、うち2704人が子供だったと発表。イスラエル軍が避難を促すガザ南部で被害が広がっていると主張した。
 ロイターは、24日夜もエジプトからガザへ支援物資を載せたトラック8台が入ったと報じた。しかし、イスラエルは依然、燃料搬入を認めていない。世界保健機関(WHO)によると、燃料枯渇により、ガザの6病院が既に運営を停止した。
 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の幹部はAFP通信の取材に「もう時間切れだ。緊急に燃料が必要だ」と強調した。UNRWAの施設には、収容可能人数の4倍を超える60万人近い人が避難している。
 国連のグテレス事務総長は24日の安保理会合で当事者に即時停戦を呼び掛けた上で、ガザで国際法が順守されていないと指摘した。グテレス氏はハマスの攻撃は「何もないところから生じたわけではない」と述べ、イスラエルがパレスチナで「窒息するような」占領を続けていると批判。これにイスラエルは猛反発し、「あなたはどの世界に住んでいるのか」(コーヘン外相)と詰問する場面もあった。
 ブリンケン米国務長官は同じ会合で、ハマスがイスラエルに侵入して民間人ら1400人を殺害し、200人以上の人質を取ったことを糾弾。イスラエルに対しては「民間人に危害を加えないよう、細心の注意を払う必要がある」と注文を付けた。
 一方、イスラエル北部でレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラとの交戦拡大に懸念が高まる中、レバノンのテレビ局は25日、ヒズボラの指導者ナスララ師が、ハマスの幹部やガザの武装組織「イスラム聖戦」指導者と会談したと報じた。 
〔写真説明〕24日、パレスチナ自治区ガザの南部ハンユニスで、イスラエル軍の空爆を受けた建物(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)