【エルサレム時事】イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザでは27日夜、イスラエルの地上作戦拡大を前に、電話やインターネットなどの通信が全域でほぼ遮断された。支援物資の不足に加え、外界との連絡ができず孤立が一段と深まれば、既に危機的な人道状況がさらに悪化しかねない。
 ガザで医療支援を担うパレスチナ赤新月社は、X(旧ツイッター)に「イスラエルが全ての固定・携帯電話、インターネットを遮断したため、ガザにいる全てのチームとの連絡が途絶えた」と投稿。「緊急医療を継続できるか、深刻に危惧している」と訴えた。ガザで携帯電話やネット接続を提供する事業者も、空爆の被害で通信が機能しなくなったと認めた。
 時事通信記者は、ガザで取材するパレスチナ人助手や住民に電話や通信アプリで連絡を試みたものの、電話がつながらず音声メッセージに切り替わった。SNSのメッセージも届かなかった。
 米CNNテレビはイスラエル軍による27日夜の空爆について、7日にハマスの奇襲攻撃を機に戦闘が始まって以降で「最も激しい」とするガザ住民の声を伝えた。ガザ中部のアルアクサ殉教者病院には、爆撃での死傷者が相次いで搬送されているとされる。パレスチナ自治政府のシュタイエ首相は、CNNに「(通信遮断によって)罪を犯せるよう暗闇をつくり出そうとした」とイスラエルを批判した。 
〔写真説明〕27日、パレスチナ自治区ガザで、イスラエルからの攻撃で煙の立ち上る市街(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)