【エルサレム時事】イスラエル軍は29日もイスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザに対する攻撃を強化した。「第2段階」(ネタニヤフ首相)に入った作戦規模を徐々に拡大する方針。国連は、イスラエル軍による攻撃と封鎖下で人道危機が深刻化するガザの「秩序崩壊」を警告している。
 軍の声明によると、イスラエルとの境界にあるエレズ検問所付近で地下トンネルに潜むハマス戦闘員を発見し、攻撃した。軍報道官は陸、海、空からの攻撃で、指揮官を含む多くのハマス戦闘員を殺害したと発表。ハマスのガザ地区トップのヤヒヤ・シンワル氏について、「彼にたどり着くまで追いかける」と宣言した。
 一方、パレスチナ赤新月社は、イスラエル軍がガザ北部ガザ市のアルクッズ病院周辺に空爆を繰り返し、民間人を危険にさらしていると訴えた。X(旧ツイッター)に投稿された動画では、窓が割れ、土煙が充満する病院内で人々が口元を押さえながら避難している。イスラエル軍は、ハマスが多数の病院に活動拠点を置き、「人間の盾」として利用していると主張。病院からの退避を求めている。
 ガザへの人道支援について、エジプトから支援物資を積んだトラック24台が29日、ガザに入った。パレスチナ赤新月社が公表した。21日以降で計118台分の物資が搬入されたという。ただ、発電に必要な燃料は含まれていない。物資の量は不十分で、ガザ中部などの物資保管庫で略奪が発生。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は「秩序が崩壊し始めたのではないかと懸念している」と警告する。 

(ニュース提供元:時事通信社)