【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが7日にイスラエルを攻撃して以降、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区でも緊張が高まっている。ガザ情勢の緊迫を受け、イスラエル治安部隊が西岸で作戦を実施。ユダヤ人入植者がパレスチナ人を殺害する事件も相次いでいる。
 イスラエルのメディアは30日、治安部隊が前日夜に「対テロ作戦」として、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニンを急襲し、パレスチナ人4人が死亡したと報じた。西岸では28日にも別の場所で、イスラエル治安部隊が関与する衝突が発生した。
 一方、西岸北部の集落サウィヤでは28日、ユダヤ人入植者が、オリーブの収穫をしていたパレスチナ人(40)を射殺した。北部の村では12日、葬儀中のパレスチナ人と入植者が衝突し、パレスチナ人親子2人が亡くなったもようだ。
 報道によると、7日のハマスによる攻撃開始後、西岸で死亡したパレスチナ人は110人超。うち入植者による死者は6人に上る。
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどは29日に声明を出し、入植者による襲撃に懸念を表明。「(ハマスとイスラエルの軍事衝突で)入植者は、パレスチナ人への怒りが高まる社会的雰囲気を利用し、暴力を激化させている」と非難した。 
〔写真説明〕30日、イスラエル軍の急襲を受け、損傷したヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニンの建物で活動する消防隊員(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)