【エルサレム時事】イスラエル軍報道官は2日、パレスチナ自治区ガザの中心都市ガザ市の「包囲を完了した」と発表した。イスラエル軍の戦車がガザ市中心部へ進んでいるとの報道もあり、人口密集地でイスラム組織ハマスとの戦闘が迫っているとみられる。イスラエルは、ガザ市を含む北部地域から退避を求めてきたが、多くの民間人が残されており、本格的な市街戦となれば住民に甚大な被害が出る恐れがある。
 軍は3日、ハマスの関連施設を空爆した上、武器や爆発物などを押収したと発表。戦闘で中心的役割を担ってきたハマス司令官を殺害したと説明した。
 ハマスは、ガザ地区の地下に張り巡らせた数百キロに及ぶトンネル網を駆使してゲリラ戦を行っているとみられる。ハマス掃討にはこうしたトンネルの攻略がカギとなる。
 ガラント国防相は2日、「トンネルを解体する独自の解決策がある」と主張。ハマスの戦闘員に対して、「トンネル内で死ぬか、出てくるか。(トンネルから出た後)わが軍の砲撃で死ぬか、無条件降伏するかだ」と警告した。
 また、戦時内閣に加わるガンツ前国防相は2日、ガザの住民に向けて、「人質の帰還を支援した者とその家族は免責される」と訴えた。ガザに拉致された240人以上の人質の中には、ハマスや他の武装組織だけでなく、組織に属していない住民に拘束されている人もいるとみられている。
 国連の人権理事会の専門家は2日、「パレスチナ人がジェノサイド(集団虐殺)の重大危機にあると依然確信している」とする声明を出した。イスラエル軍はガザへの攻撃を強化し、北部ジャバリヤの難民キャンプへの空爆では190人以上が死亡した。燃料や食料などの不足は解消されず、民間人に生命の危険が及ぶ状態が続いている。 
〔写真説明〕2日、イスラエルの攻撃を受け、炎と煙が上がるパレスチナ自治区ガザ市(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)