【エルサレム時事】イスラエルのネタニヤフ首相は6日、イスラム組織ハマスとの戦闘終了後のパレスチナ自治区ガザについて「イスラエルは期限を定めず、安全保障上の責任を全て担う」と述べ、部隊を無期限に駐留させる意向を示唆した。米ABCテレビのインタビューで語った。
 ガザは2005年にイスラエル軍が完全撤退し、現在はハマスの実効支配下にある。ネタニヤフ氏は、戦争後のガザ統治に関し「ハマスのやり方を望まない者が行う」と説明。「われわれが安全保障の責任を持たなかった結果、想像を絶する規模のハマスのテロが噴出した」と語った。
 イスラエル軍は7日の戦況報告で、ガザ北部のハマス軍事拠点を6日に制圧したと発表。北部の中心都市ガザ市内にあるアルクッズ病院の近くで、建物に潜んで反撃を狙っていた複数のハマス戦闘員を発見して攻撃し、大規模な爆発が起きたと明らかにした。パレスチナ赤新月社は6日、イスラエルが同病院から約50メートルの場所を空爆したと、X(旧ツイッター)に投稿していた。
 イスラエル軍は、地上からの侵攻でガザを南北に分断し、ハマス司令部があるとされるガザ市を包囲。軍報道官は6日、「ガザ市の深部へ前進し、圧力を強めている」と強調した。ロイター通信によれば、7日にはガザ南部のハンユニスとラファでイスラエルの空爆により、少なくとも計23人が死亡した。
 ガザの保健当局は7日、交戦開始後のガザでこれまでに子供4200人超を含む1万328人が死亡したと明らかにした。イスラエル側の死者は1400人以上。ハマスがイスラエルからガザへ連行した人質240人以上は、今も拘束されている。
 ホワイトハウスによれば、バイデン米大統領は6日、ネタニヤフ氏と電話会談。ガザ住民の安全な退避や人質解放に向けた「戦術的な戦闘の一時停止の可能性」を議論した。ネタニヤフ氏は会談後、ABCテレビで「戦術的かつ小規模な戦闘の一時停止」は排除しない意向を示したものの、「人質が解放されるまで、全面的な停戦はない」と主張。「ハマスに対し有効なのは、軍事的圧力だけだ」と述べ、改めて強硬姿勢を示した。 
〔写真説明〕6日、イスラエル南部のガザ境界付近から砲撃を行う兵士(AFP時事)
〔写真説明〕イスラエルのネタニヤフ首相=10月28日、テルアビブ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)